蜘蛛の糸(2024.7.30)

文字数 300文字

蜘蛛が天井から降りて来て
一緒に行かないか? 
と誘ってくれる

どこへ?
なんて聞くのは野暮だろう

だけど 直ぐに
はい
と答えるのも野暮だろう

言葉を選んでいるうちに
蜘蛛の糸で
ぐるぐる巻きにされる

痩身の私を
食べるつもりなのだろうか?

最後の晩餐は
鮭茶漬けだった

蜘蛛は巻き終えると
再び天井へ上がっていく

人間の形をした蜘蛛の糸で巻かれたモノが
ベッドに転がっている

行くとも
行かないとも
言わなかったから
とりあえず 逃げないようにしたらしい

そうした訳で
私は今 金縛りになっている

見えない糸に
締めつけられ

天井から
蜘蛛が見下ろしている

どうやら
一緒に行かないか?
は嘘だったようだ

私は蜘蛛男に話しかける

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