型枠（２０２４．７．２２）

型枠にハメられました
何某が作った型枠に

わずか1ミリであっても
違いを許さない何某は
型枠にハメようとします

それまで
手作りで
ひとつひとつ
形も大きさも違う
生き方をしていたけれど
みんな同じ形
みんな同じ大きさになりました

きれいに収まり
はみ出しや空きはなくなったけれど
みんな苦しそうです

個性が
すべて
否定され
許されない世界で
僕らは
どれも同じように見えるモノとして
取り扱われます

何某だけは
満足そうに
僕らを眺め
型枠を丁寧に磨いています

僕らよりも
型枠が大切なのでしょう

何某が
帰ったら
僕らは静かに
形を変えるつもりです

これでは
誰が誰だか
分からなくなってしまう

みんな同じ
なんて
つまらない

型枠にハメられたことがない
何某には
分からないだろう

彼こそ
自らを
型枠にハメるべきなのだ