行き先(2024.7.15)

文字数 233文字

見渡す限りの田んぼには
小さな苗と水が

水面には
空と雲が映り
人影はどこにもない

無人駅で
高校生二人と老婆が降りる

乗る人は
ひとりもいない

取り残された
僕らを運ぶ
ワンマン電車

終着駅には
旧く厳かな
神社が在るのだ

けれど
だんだん
不安になる

ほんとうに
在るのだろうか?

乗り間違えて
いないだろうか?

田んぼを
見ていると
現と幻が
混濁する

もしかしたら
夢の中
なのかもしれない

妻がガムを
差し出す

 うとうと
 していたよ

口に入れると
一気に頭が起きる

大丈夫
僕ら以外にも
観光客が
三人乗っている

たぶん
間違いない
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