夢(2024.7.25)

文字数 293文字

手足が伸びる
夢を見た

ダイノジに
なって
天井を見上げていると
ずんずんと

手足のあちらこちらから
毛も伸び始め
遠い記憶を思い出す

そう
僕は
樹だったのだ

すっかり
忘れていた

チェーンソーの音が
聞こえる

仲間たちは
悲鳴を上げることもなく
次々と倒れていく

僕らは
立派に
成長し
材木になる

もうすぐ
伐られる

逃げたいと
思ったけれど
逃げることは出来なかった

その時
人間がいいな
と思った

だから
きっと
こうして
人間になったのだろう

手足は
どこまでも
伸びていく

伐られる心配はないのだ


その時

チェーンソーの音
のような
目覚ましが鳴り響いた

手足は
伸びていない

何だか
もの足りなさを
感じる

伸びるのは
僅かな期間だと
知っていたら
人間にはならなかった
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