第26話 入社式展スピーチ

文字数 8,134文字

 都内での滞在最終日は、入社式典の日と重なる。

 おれはCEOに呼ばれるがままそこに来ていて、会場の傍のほうで突っ立っている。

 この自動車メーカーでは毎年、このような状態になっているように思われた。つまり本来厳かになりがちな入社式典というものが、この男の持つサイコパスな人格傾向によって一変してしまうようだ。

 奴が壇上のマイクの前に立ってしまうと、マイクから入力されるサイコパスがスピーカー経由で拡張出力され、壁や天井を跳ね返りながら容赦なくぶちまけられる結果、場内は完全に掌握される形になるということらしい。

 無駄に盛り上がる式典はほとんどワンマンショーと化し、奴はその性質をいかんなく発揮して新人たちを笑わせ、時にはおちょくり、更には要所要所で真面目な話を差し挟んでいく格好で展開されていく。

 時に反社会的な活動へと向かわせる事もあるその因子が、『持ち味』としてマッシュアップされている様を、おれは式典の後方から眺めていた。

 するとその火の粉は、思わぬ形でこちらに飛んでくることになる。

「____そうなんだ、庶民感覚の再見というものは、若かりし頃の冒険心を思い起こさせてくれる。発泡酒ってのも意外と悪くはない。私は『麦とホップ』が結構好きになったものだったよ。___ところで君たちはヒップホップは好きかね? 実はここにデビューを間近に控えたラップ男がいるんだ、ほら、そこに!」

 CEOが指差す方角にいるのはおれなので、当然のように新入社員らが一斉にこっちを向く。

「おーい、アキアス! 上がって来い。何か面白い話を聞かせてくれ。ステージは得意だろ?」

 CEOが手招きをすると場内は歓声が上がり、拍手が巻き起こってしまった。CEOの波に飲まれちまっている彼らを軌道修正することは、もはや困難と診たおれは、しぶしぶ壇上に向かって歩き出した。

 ステージの上から見渡してみると、意外にも自分がかなり歳の離れた大人であると、今更気づく。___確かにそうだな、学生を終えたばかりの新卒者たちだ、彼らは22歳付近。自分は社会に出て13年。30代にもなったのだから。

 彼らは初々しく見えた。これからいろんな事が待ち構えている。多くの場合、楽しさと苦労はセットだ。

 そしてここは一流企業。彼らは高い競争率で内定を勝ち得たサバイバーの集まりであると解釈し、今回は面白い話をするより、真面目な話がしたいと思った。面白いほうは今しがた、CEOが散々やり尽くした。

 マイクを傾げる。どうも皆さん、おれはここの会長の親戚のあたる男です。ヒップホップのMCもやっているので、こういったステージやマイクには馴染みがあります。フランクに話していることを許してほしい。と前置きしてから喋り始めた。

「まあそうですね、急な話なんで何も用意はしていなんだけど」

 おれは空を仰いだ。そして”一番自然と話したいもの”をたぐり寄せていく。

「じゃあ今日は、友人の話をしたい」

 おれは一人で頷く。友人というのは札幌で出会ったレイブンの常連ラッパー、ナックルのこと。

「彼はおれと同年代のラッパーでして、札幌のグラブやアンダーグラウンドのヒップホップシーンにおいて、名の知れた人物でもある。おれは奴からこのカルチャーについての知識や情報、更にボーカルに関するレクチャーを受けてきた。それ以来付き合いが続いているんだけど、おれが知り合った頃には重度のスランプに陥ってる状態だった。___いわゆる創作者によく見られる制作上のスランプ期で、この界隈ではよくある話。それ自体は珍しいものではない」

 おれはナックルを思い返していた、

「奴はリリックが書けなくなっていた。ラップはできるけれど、詩のライティングが難儀になり、何を書くべきかという部分において、かなり苦しんでいるようだった。ライムが書けないってことじゃなく、何を物語るかという部分で」

「ナックルの誕生日だった夜、奴のスケジュールがガラ空きだったことを所属レーベル経由で知ったおれは会いに行った。すると奴は、自分の1LDKのこじんまりとした部屋で作詩に奮闘している最中だ。ナックルには結婚するつもりでいる女性と、すでに2歳になっている息子がいるんだけど、この二人とも会わずに、一人でライムを書いてるんだ。自分の誕生日だってのに。おれが部屋に行くと奴は言った。

『何を書いていても上の空みてえな、確信を持って俺は書いているって感じがないんだ。だからもちろん、ケイシーのところに持っていくとシュレッダーにかけられるだけだしよ。ソッコーで寸断されるんだぜ? ちゃんと読んでるんすかって聞いても、読んでるって言うしよ。___まあ実際あいつは読んでるんだよ、ちゃんと。それで、”紙と時間を無駄にすんな”とかまで言ってくる。ムカつくけど、あいつの言ってる事は正しい。アキアスはライティングで不調な時ってあるのか? 何か助言があれば言ってくれねえか。全然抜け出せねえ』

 ___おれはナックルに言ったよ。『もし言われて嫌なことであっても耳を貸す気があるなら、思い当たることを指摘できなくもない』と。奴は『構わん。聞かせてくれ』と言うので、おれも応じた。

『ナックル、お前は極めて”劣悪な闘い方”をしていると言わざるを得ない。今この瞬間に創作が全然できないのは何故か、本当にわかんねえのか? お前の中に後回しにしている案件があるだろ』

『何のことだ?』
『それを考えろよ。そもそもお前の創作の目的は何だよ』

 ナックルは少し黙ってから胸の内を吐露する、

『前にも言ったが、俺にはラッパー活動に理解のある女と2歳の息子がいる。早く養ってやりたい。今は一緒にいられないが、そのためにも一刻も早い成功が不可欠だ。俺は焦っているし情熱を維持するのは大変だが、やるしかねえ。遊んでる暇はない』と言う」

 おれは場内の新入社員たちを見渡す。

「君たちはこの話を聞いてピンときていないと思う。つまりこういうことだ。このナックルというラッパーは、メジャーのラッパーとして自身が結実することによって、家族を養い、自らに自信を持ち、納得できる。___みたいな順番だった。これが奴の創意を失わせ、手を止めていた原因。おれの見たところ、夢や目標の成功によって全てを解決しようとする連中は、ある程度の所までは登っていけるが、その多くはある時期を境に必ず失速してみせる。___闘い方が間違ってるからだ。おれはそう見てる」

「おれは言ってやったよ。『お前はいったんラップの一切合切を辞めて、違う手段で”置き去りにして待たせている者たち”を養ったほうがいい。心のわだかまりを全てきれいに解消して来いよ。その後で、もしお前がラップに戻らなかったり、創意が失われているようであれば、その時は自分はそれまでの存在だったと見切りをつけてしまえ。お前が本物のラッパーなら、その後でも情熱が残っているはずだ。むしろ高まってすらいるだろうな。やってみろよ?』

 おれは更に追い討ちをかけてやった、

『仕事に熱を入れるため、夢を追うため、___そのために他の事ができねえとか犠牲にせざるを得ないとか、これまで多くの男どもが口実にしてきたものは”大ウソ”だったってのをここで明言してやるよ、ナックル。何故なら”やれば出来る”からだ。しかも”やってしまうこと”で、どれほど他の面で研ぎ澄まされてしまうかを、お前は知らない。片方の何かしかできねえ、大切な誰かをおざなりにして___とかいう奴は、単にやってみたことがないだけだ。甘えんな、全てやれ。大切な人のことも、やりてえ目標も。やる気になれば絶対やれる。そもそも試みてすらいねえからな、こういう奴らってのは』

 ナックルはローテーブルを蹴り飛ばしてぶちギレたよ。”お前と話してるとむかつく、その知ったような偉そうな口ぶりとかよ! マジで頭にくるぜ!” おれはその様子をツラっと見やって、更に挑発した。

『いい反応だな。図星だからだぜ。お前が作詩できねえ理由は、その女性と息子を置き去りにしちまってる罪悪感に、心が軋んでるからだ。そいつを解消するまでライムなんざ辞めちまえ』

 ナックルは部屋からおれを追い出す気満々なので、おれは言われる前に自分から玄関に向かいつつ、冥土の土産的な最後の一発を残してやったよ。

『ラップに戻れなくなっちまうとかビビってんのか? そんなタマじゃねえだろ。全てを解決して再び砂依田のところに持っていけ。ついでにおれも驚かせてみせろよ、”ナックル”』」

「思うんだが____」

 会場は静まり返って話を聞いてくれていた。
 彼らに向かって言う、

「おれが本当に創作スキルを操れるようになったのは、自分自身の中の問題を解決した後だった。己の弱さをすべて片付け、生活者として地に足をつけ、人として一端になった後、”それでも自分は創作する人間だ”として創作の神の前に立った時、おれは敬意を持って迎えられた気がする。___今では創作の神に愛されているとすら感じている。この感覚はおれにとって極めて重要なものとして、自分の内側に在る」

「ナックルのようなやり方、___使える時間を全てそいつにぶち当てて最短で集中的に駆け抜けてしまおう、得意な事に注力して、苦手な事には時間を割かない、無駄だから。___ってのはドラッカーみたいだよな。君たちはドラッカーを読むと感心するのかもしれないけど、おれはドラッカーがあまり好きじゃない」

 会場から笑い声がいくつかした。おれは説明する、

「得意な物事に時間や情熱を集中させる。苦手で不得意な勝算薄な物事には注力しない。___これは全く理にかなっているよな。君たちはそう見ている。まさにその通りだ、理屈が合っている。つまり式が合ってるんだよ。___ってことは逆に言うと、式が合ってるからこそ、そこから抜け出せなくなっているってことでもある訳だ」

「よく考えてみてほしい。これってのは、”力を注いぐ量”や”場所”や”数”が主体となった式なんだよ。おれらが今本当に持ち出している主題というのは、”その人間の成長”に関する問いかけだ。つまり”その人間の成長率”というものにフォーカスして考えてみると、実は全く違った解が導き出されてくることがわかってくる」

「___君たちも知っているかもしれないけど、その昔、職業が明確に分離されて呼称されていなかった頃、ある人は石膏をやりながら詩を書いていたり、ある人は絵画をやりながら音楽をやっていたりもする、こういう事がザラにあったんだ。これは何を意味すると思う? おれたちはパティシエと大工を違うものとして認識しているが、何が違うのか答えられるだろうか?」

 場内を見た。反応はない。

「やっている事が違うから? 本当にそうなのか?___単に名称が違うだけじゃないのか。ラベリングの罠がまさにこれだ。物事に名称やラベルが貼り付けられると、人はそれ以上追求しなくなることが多い。例えば大工と料理人は、根底ではかなり似通った作業工程を踏んでいる。”材料の調達と、実際のそれらの組み合わせ作業、完成までの手順とその予測”」

「小手先の技術が使いまわせるという意味じゃない、深部で通じてるって話だ。おそらく大工が調理をしようとなった場合、調理の概要の捉え方が大工仕事と共通するために、入り込みやすいはずだ。全く大工をしていない人よりは調理の概要を捉えやすい。今日ではUIデザイナーとウェブデザイナーみたいな細かい職名まであるけど、もし互いに”それはそっちの領分だろ?”みたいなことを言うんであれば、かなりカオスだよな。人々はこの実態のない世界を”言葉のラベリング”によって大まかに区分けして分類し、伝達し合う。それがないと世界は機能はしないから大切な事でもある。だが言うまでもなく言葉ってのは、そのものを完全に説明できる代物ではない。ラベリングは伝達のために発展したが、弱点も依然としてあるわけだ」

「___ひどい例がある、ポルターガイストという物理現象と心霊写真という光学現象、そのどちらもが”幽霊の仕業”という事で、乱暴なラベリングによって同じ箱にぶち込まれている。人はわからないものを宙ぶらりんのままにしておく事をかなり嫌がる性質があるからだ。そして名称が付くとそれ以上追求しないってのも、人の大いなる特徴。___だけど、おれたちのような創作に携わる人間は、”一般的に見落とされてしまうものに気づいていく”ってのが飯のタネになる訳だから、これではいけないんだ。___草食男子と肉食女子は結局どのような社会学的意味合いがあるのか、名前がついちまったんで、ほとんどの人は深追いしないままニュアンスで認識するに留まる。ちなみにおれは女子に対して、”ナプキン男子”でありたいと切に願っている。___つまり”そっと充てがう”という意味合いで」

 場内が笑う。

「またラベリングは、ある程度の長さの文脈でも存在する。君たちはよく”深夜に書いたポエムは朝読むとひどい内容”、みたいな言い回しをすると思うけど、これもラベリングされたものの一つだと思う。それは何故か、を深追いしないだろ? おれならこの先も考えていく。”深夜にポエムを書いている人は、実際に書いている時間よりも頭の中で考えている時間の方が、多分ずっと長いだろう。紙に写し出されているものは、いわゆる小説や映画のクライマックスみたいな部分だけになってしまっているはずだ。頭の中でそれに至っていった段階的な工程を順序立てて書いていないに違いない。朝になるとその段階的な部分が頭からは消えているし、紙上にも残されていないため、ひどく突飛で気恥ずかしい内容として目に飛び込んでくる”、と」

 新入社員たちから、ざわめきと笑い声がした。

「話を戻すけど、一部の偉業を成した人たちの中には、”この感覚”について、それぞれが違う言い回しで世の中に報告しているのがわかる。例えばAppleの創始者の場合なら、”自分のしてきた事の点と点を繋ぎ合わせるんだ”と言っているけれど、これも”この感覚”について説明しようと試みた例だと思う。___つまりざっくり言ってしまうと、”あらゆる物事は根底では関連し合い、技術的にも思考面でも共通するものが多い。何かをやってみると、一見無関係と思える他のものに、それらの技術や経験が転用できる”、と言うことだよ。だから得意なものだけに馬鹿みたいに注力するな、と言いたい」

「___身の回りの様々な物事や課題、それら全てを実際にこなしてみるといい。すると君たちの手には、”アックス”や”カンナ”、あるいは”性感ローション”みたいなものが、知らず知らずのうちに持ち物として加わっていく。それらは他の何かをする際には実は使い回せるツールになる。___大昔の人らが”哲学をしながら絵を描いていた”のだとしたら、これらの二つの物事には、互いに技術的に転用して相乗効果が起きる結び付きが、その人物の中では生じていたということを意味する。___おれも実はやっている創作は作詩だけじゃないし、他の創作が上達するとライムの推進力が実際に上がっていくことを身を持って経験している。そしてライムスキルが上がると文章の編成力が向上したりもしている。そういう事が日常的に起こってるものなんだ。___このような素晴らしきハイ・インテイジェンス状態があるってことを、必要以上にドラッカーに感化されちまう連中は全然知らないでいる」 

「もし、ギター青年が部屋に閉じこもってギターに明け暮れてるのであれば、おれ個人はそれを全然推奨しない立場をとる。オカンに頼まれてピザを取りに店に行くとか、親戚の子と遊んでやるとか、ダチと広場でサッカーしたり雑談したり、___そういったことをしっかりやった青年が再びギターをかき鳴らした時、その音は違うものになっているって方におれは200万円ぐらいbet(ベット)してもいいかな」

「___それで、ナックルとはしばらく連絡をほとんど取っていなかったんだけど、実は昨日久々に奴からメールが来たんだよ。何が書いてあったか君たちに教えるよ。___ナックルはあの日以降、怒りが収まるとラップを放り投げていたようだ。そして職安に行って、音楽とは全く関係のない、”生活費のためのとりあえずの仕事”を始めていた。それがある程度軌道に乗ると、彼ら三人は合流して一緒に暮らしていたようだ。その状態が数ヶ月ほど続き、あいつ自身も働きながら何かをする余裕が生まれてきたところで、ライムを再開したって話だ。ナックルはこう書いているよ、『リリックの内容が一変して、これまでとは違うことを俺は書くようになったんだ。”今に見てろ”、みてえなことじゃない。俺が本当に言いたくて仕方のなかった気持ちに、俺はアクセスできるようになったんだ。今度お前にも見せてやりたいよ』って」

「”いつか一緒に暮らす”、”いつか子供を引き取る”、___そういうつもりでいたとしても、気付いた時には叶わなくなってるかもしれない」

 おれは壇上からCEOを見た、
「親の気持ちを、子は大体知らないもんだからだ」

 CEOは目を瞑って、うつむいていた。


 少し間があいてから、おれは言う。

「ナックルのように、”いつか”ってのを”今やる”と決意すると、あるいはひらけた明るい場所に辿り着くかもしれないよな。新人のあなた方もそっちへ行けるといい。おれが思うのはそれぐらいなものです」

 おれはそろそろスピーチをやめる。

「今いろいろと話をした訳なんだけど、聴き終わってみて印象に残ったのは、何だった?」

 おれは彼らを見回す、「”ナプキン男子”?」

 場内が頷いて笑った。

「まあそんなもんだな、それでいい」

 話し終えた感じがしたので、おれはステージから下がった。___拍手はもらえたようだ。


「アキアス」

 CEOはおれが前を通り過ぎる際に言った。しばらく待ってみたが、彼はそれ以上なにも発してこなかった。

 おれは言った、
「元気でいるといい。あんたの会社の人たちも、それを望んでいるはずだ」


* * *


 おれは社を出て風に吹かれた。ビルの入り口の巨大な回転ドアを抜けたところで、タクシーを捕まえて乗り込んだ。

 するとCEOの側近にあたる役員の男が、小走りで駆け寄ってきた。おれはタクシーのウィンドウを開けた。

「会長があなたにこれを渡して欲しいと」

 それはおれの生まれた時の、命名候補の一覧を書いた古びた紙切れだった。


3、晃永(テルヒサ)

2、理雅(ヨシマサ)

1、明快(アキアス) ※決定


「会長自身があなたに直接名付けなかった理由として仰っていたことですが、『この子供の誕生は自分にとっても予測し得なかった、”読めなかった出来事”。だから自分が名付けるようなことをせず、彼がどうなるか予測できないままにしておきたかった』___そのようなご本人のお言葉でした」

 しばらくの間、命名候補の紙切れを見つめていた。

 もし自分に他の違う名前が付いていたとしたら、おれは違う人間になっていたんだろうか。___そういう想いを巡らしてしまう。


「ところで」CEOの側近は言った、
「なぜ会長の真意をご存知だったんです? ”本当はあなたを引き取るつもりだった”と」

 おれはかぶりを振った、

「あの男は”常に2つ先を読んで動く”、ってのを実践しているとインタビュー記事で公言していた。おれが児童養護施設から自立して出ていく日程は18歳。あの男が一度だけおれを見に来たのは、おれが16の時だった」

 おれは肩をすくめた。

「18−2=16。それだけだよ」


 タクシーが走り出し、首都圏のハイウェイの上に滑り込んだ頃、砂依田からテキストの着信が入ってきた。


発信 砂依田 圭史
チェインスネアが制作を終えたという噂が出ている。
お前は今何してる?


返信 akiasu
今は都内にいるけど、これから帰る。
制作の佳境に入る前に【忘れ物】を取りに来ていた。
用は済んだ。スタジオに戻る。


 そう返信して、自分の”ホーム”に戻るための便に乗り込む。

 内地を後にした。
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