第28話 ピシュグリュの裏切りの発覚

文字数 1,047文字

1797年。選挙で、王党派が優位に立ちました。

けれど、総裁バラスには、秘策がありました。



1796年(前年)のイタリア遠征で、ナポレオンは、アントレギュ伯というスパイを捕まえた。

20話「カール大公の策略」、参照

 「三帝激突」9話「イタリア遠征」




アントレギュは、イタリアへ亡命していたプロヴァンス伯(後のルイ18世)と行動を共にしていた。

*ブログ「ルイ18世」



ナポレオン麾下フランス軍がイタリアへ侵攻してくると、プロヴァンス伯はヴェローナへ逃れたが、アントレギュは、ヴェネチアに残った。そして、愛人である歌手のアントワネット・サン=ユバルティとともに、ナポレオンに拘束された。



調べてみると、アントレギュの所持していた書類から、ピシュグリュの裏切りを示す書類が出てきたのです。コンデ公(亡命貴族軍の司令官)や、オーストリア軍との密通を証明する書類です。

ああっ! それっ!

サヴァリのやつが、せっせと運んでいた書類だ!



*後にドゥゼの副官になる

 14話「上アルザスにて」、参照



ナポレオンはこの書類を、総裁バラスに提出した。バラスは書類を保持し、革命歴5年フリュクティドール18日(1797.9.4)、その効果を最大限に利用すべく、王党派を叩く目的で、これを使用した。




ボナパルトは、バラスと繋がってるものなあ。ヴァンデミエールのクーデターで副官に取り立ててもらったし。その成功によって、イタリア軍の指揮権も貰ったし。



25話「総裁政府の樹立」、参照

 「三帝激突」7話「ヴァンデミエール将軍」

ナポレオンには、ロベスピエールの弟の取り立てで、トゥーロン包囲戦で成功を収めた*ものの、その後のロベスピエールの失脚で、彼自身も逮捕・収監された過去があります。処刑はされなかったものの、地位を失い、パリで、極貧生活を送っていました**。


その彼を、再び取り立ててくれたのがバラスだったのですから、まさにバラスは、ナポレオンの恩人だったわけです。


その上、妻のジョゼフィーヌ***は、バラスの愛人だったわけですし!



「三帝激突」4話「トゥーロン包囲戦」、参照

**「三帝激突」6話「テルミドールのクーデター」

***ブログ「ジョゼフィーヌ」

小説の時も思ったが、お前、最後のは悪意があるぞ。



小説「負けないダヴーの作り方」

そりゃそうですよ。私は、ナポレオン、嫌いですもん。



ところで、このスパイ・アントレギュのその後については、映画も顔負けの後日譚があります。ブログにまとめてあります。

ブログ「フレクティドールのクーデター1」

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登場人物紹介

ルイ=ニコラ・ダヴー

Louis-Nicolas Davout

1770.5.10 - 1823.6.1


主役は、オレだ!


(後のナポレオン時代、”鉄の元帥”の異名を取る。無敗を喧伝される一方で、偏屈とも噂される。ここでは、彼が若く、ナイーヴだった頃を扱います)

小説「負けないダヴーの作り方」

ルイ・シャルル・アントワーヌ・ドゥゼ

Louis Charles Antoine Desaix de Veygoux

1768.8.17 - 1800.6.14


ライン軍将校。俺の憧れの人♡

注)本作及び、小説「負けないダヴーの作り方」は、BLではありません

ブログ「ドゼー1」 ~

サヴァリ

Anne Jean Marie René Savary

1774.4.26-1833.6.2


俺を差し置き、ドゥゼ将軍の副官になりやがった邪魔なやつ。こいつ、童てi じゃないかと、俺は密かに疑ってるんだが、 こんな世間知らずが、ドゥゼ将軍の副官になっていいものか!!

ラップ

Jean Rapp 

1771.4.27 - 1821.11.8


こいつも、ドゥゼ将軍の副官になりやがって。勇気だけが取り柄の、とにかくクソ生意気な男



ラップ目線の2000字小説が、こちらに「勝利か死か Vaincre ou mourir

ブログ「ラップ」

アンベール

General Jean Jacques Ambert

1765.9.30 - 1851.11.20


俺の上官。俺の軍服に、鼻水をなすりつけて感涙にむせぶ癖がある

作者

※このページは、ダヴーにのっとられました……

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