第3話 初期の収監事件
文字数 1,321文字
全く、なんたる短絡思考だ。
俺はな。革命思想に、心底惚れたんだ。なにしろ、ガクがあるからな。ルソーやヴォルテールなどの思想書を、読み漁ったものさ。
革命が起こるとすぐ、俺は、自分の名前を改名した。
貴族臭い、d'Avout
は捨てて、
ただの Davout
に変えたんだ。
これに賛同する者たちは、市庁舎前で、連合への忠誠を誓った。
5月7日。ついに議会が承認、両軍は、連合軍となった。
王立軍、国民衛兵軍の懇親を深めようという名目の元、王立軍の将校らが、衛兵軍の将校を招いて、食事会を行った。しかしこれには、下級将校は招かれなかった。
夕食会の後、王立軍が騒動を起こした。これに巻き込まれる形で、裁判もなく、49人の(衛兵隊の)下士官が解雇された。中には、勤続20年以上のベテランもいたという。
さらに、ルイ16世が、「しばらくの間*、昇進は行わない」と定めたにも関わらず、過激な王党派の下士官が、少尉に昇進するという事態が起きた。
*昇進管理システムが機能するまで
貴族の高級将校の、傲慢と優越。王党派(当然貴族)の優遇。
これに激怒したのが……
*当時はまだ、王の大臣
**フランス北部。ダヴーの赴任地エスダンより、50キロほど、内陸寄り
が、この頃、革命の余波で王の大臣は没落、剥奪された軍のランクも復活した(同じ部隊にいた伯父、ジャックのおかげだという)。