第8話 フランス革命戦争1

文字数 1,174文字

(ズタ)

ふう。

(ボロ)


これでやっと、1795年、マンハイム包囲戦に話を戻せる……、


まだだ!

(ズタボロ)

へ?

だって、ダヴー様の初期のエピソードは、突貫で説明しましたよ?

(ズタボロ)

お前なあ。

いきなり、1795年だの、マンハイムだの、包囲戦だの言っても、何のことかわからんだろうが。


順を追って、説明しろ。俺達の戦いの意義を!

ああっ! ドゥゼが遠くなる……もはや何の話かわからなくなってきた……

イケメン将校たちが、遠い……。

心配するな!

俺がいる!



フランスに革命が起きても、ヨーロッパ諸国は、静観の構えだった。当初の革命政府が、立憲君主制を目指していたことも、その一因だった。


しかし、1791年6月、国王一家の逃亡事件(ヴァレンヌ事件)が起きると、事態は一変する。国民は憤慨し、立憲君主派の立場は悪くなる一方だった。

ブログ「フランス革命ざっくりした流れ」

恋愛美談として語られがちですが、国王一家の逃亡に執着したフェルゼンも、余計なことをしてくれたものです。


ヴァレンヌ事件の2ヶ月後(91年8月)。神聖ローマ皇帝レオポルト2世と、プロイセン王フリードリヒ・ヴィルヘルム2世は、ピルニッツ宣言を出す。*

「三帝激突」1話「ピルニッツ宣言」



事態を重く見たフランス革命政府は、翌92年4月、オーストリアに宣戦布告、7月には、「祖国は危機にあり」の国会宣言が出される。これにより、多くの義勇兵が集まった。


ちなみに「志願兵」は、英語で「volunteer」、ボランティアと同じ語なんですね……


当時まだ、将校クラスは、貴族出身者で占められていた。

王党派の将校と、共和派の兵士(多くは平民)の間で、混乱が生じた。貴族出身の将校の、ある者は、エミグレ(亡命貴族)軍に身を投じ、国外へ出た。また、ある者は、革命思想に共感し、軍に残った。


軍に残った若い将校の中には、俺やドゥゼ将軍がいた。

あ、ボナパルトもか。

ダヴー様のいた部隊でも、貴族将校と、国民衛兵の間で、混乱があったんでしょ?

この時期より、少し前だがな。革命が起こってすぐのことだ(90年)

シャンパーニュ王立隊と、地元の国民衛兵隊が合体しようとして、揉めた。



第3話「初期の収監事件」参照



革命思想を受け容れ、国内に残った貴族出身の将校達も、些細な理由で、次々と処刑されていった。

ブログ「ライン軍総司令官の運命」


結果、義勇兵は集まっても、指揮する人間が圧倒的に足りないという、深刻な人材不足に見舞われた。



開戦してすぐ、ロンウィ要塞(8.23)、ヴェルダン要塞(9.1)が、相次いで破られた。パリへ至る行路に、もう、要塞はない。

パリは、パニックになりました。ヴェルダン要塞陥落の翌日、ダントンの演説がきっかけとなって、パリの監獄の囚人が、外国と密通して敵軍を引き入れている、というデマが飛び交い、囚人の大虐殺が起きたくらいです。
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登場人物紹介

ルイ=ニコラ・ダヴー

Louis-Nicolas Davout

1770.5.10 - 1823.6.1


主役は、オレだ!


(後のナポレオン時代、”鉄の元帥”の異名を取る。無敗を喧伝される一方で、偏屈とも噂される。ここでは、彼が若く、ナイーヴだった頃を扱います)

小説「負けないダヴーの作り方」

ルイ・シャルル・アントワーヌ・ドゥゼ

Louis Charles Antoine Desaix de Veygoux

1768.8.17 - 1800.6.14


ライン軍将校。俺の憧れの人♡

注)本作及び、小説「負けないダヴーの作り方」は、BLではありません

ブログ「ドゼー1」 ~

サヴァリ

Anne Jean Marie René Savary

1774.4.26-1833.6.2


俺を差し置き、ドゥゼ将軍の副官になりやがった邪魔なやつ。こいつ、童てi じゃないかと、俺は密かに疑ってるんだが、 こんな世間知らずが、ドゥゼ将軍の副官になっていいものか!!

ラップ

Jean Rapp 

1771.4.27 - 1821.11.8


こいつも、ドゥゼ将軍の副官になりやがって。勇気だけが取り柄の、とにかくクソ生意気な男



ラップ目線の2000字小説が、こちらに「勝利か死か Vaincre ou mourir

ブログ「ラップ」

アンベール

General Jean Jacques Ambert

1765.9.30 - 1851.11.20


俺の上官。俺の軍服に、鼻水をなすりつけて感涙にむせぶ癖がある

作者

※このページは、ダヴーにのっとられました……

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