第8話 初めてのメンズメイク
文字数 2,475文字
想像以上に妹の部屋は奇麗だった。
この女に整理整頓ができると思ってはいなかったので、晴朗太は素直に驚く。
そう忠告して、恋々子は純朗の顔にメイクを施す。
慣れているのか、純朗はされるがまま。
恋々子は歌うように羅列する。
クリーム、ジェル、スプレー、パウダー、ローション、ウォータープルーフなどなど。
既に、晴朗太の理解を遥かに超えていた。
洗顔とスキンケアだけで、正直いっぱいいっぱいである。
だというのに、妹は先へと進める。
喋りながら、純朗の顔にBBクリームなるものを塗り、伸ばしていく。
晴朗太はチューブからBBクリームを出して、顔につけてみる。
そして、恐る恐る伸ばしていく。
ムラなく塗ることができず、何度も何度も往復してしまう。
化粧用のスポンジを使うと、手でやるよりはマシな仕上がり。
そうして、パフという物を粉をはたいて完成。
そのまま鏡を覗いてみると、
――カメラのシャッター音。
恋々子が撮ったばかりの画像を見せてきた。
そう言って、恋々子は逆奇跡の1枚を押し付けてくる。
弟の肌と見比べ、羨ましくなるも晴朗太は我慢する。
妹の肌はこれよりも明らかに白く見える。
恋々子はそう説明するも、晴朗太にはさっぱりであった。