第13話 コントロールカラー(色調補正)
文字数 1,433文字
晴朗太は成長していた。
妹には内緒で、先輩にもアドバイスを貰っていたので成長しないわけがなかった。
本日も披露宴は無事終了。
更には会場の片付け、再セットも終わっていた。
そして、現在は休憩中。
ただ夜の二次会は小規模なので、残っているバイトはふたりだけだった。
晴朗太は素直に尋ねる。
先輩は優しく教えてくれるので、疑問を呈すのも抵抗がなかった。
ファッションやメイク、ブライダルやデザインはもちろん、マーケティングや心理学の分野でも活躍できるとのこと。
先輩との共通話題にもなる為、晴朗太はメイクに対して以前よりも更に前向きになっていた。
異性の友人がいないからか、晴朗太は女子の自虐に対する正答がわからなかった。
一方、晴朗太はからっきしである。
カメラマンはおろか花屋やプランナーとも、世間話なんてしたことがなかった。
晴朗太は適当に誤魔化す。
自分のプライドを守るのに必死で、質問を返して恋バナに発展させるなんて真似は思いつきもしなかった。
先輩はそう言って、リップを塗り始める。
先輩の唇をガン見していた晴朗太は素っ頓狂な声をあげた。
先輩の魅力的な唇を見て、晴朗太はとりあえず同意するのであった。