第22話 G先輩ありがとう

文字数 866文字

あの夜、東屋の屋根に降り立ったブバリアに一体何が起きたのか。

目撃していた男子達は語る。


食堂で麦茶を飲みながら、低めのテンションで。

俺、目悪いからよく見えなかった。
俺も。っていうか本能が見るなってささやいた。
俺は一番近かったけど……
東屋の中でも音は聞こえただろ?
なんか、ブーンって聞こえたけど。
すごかった! リコリスさん、尊敬します。

これからは年下だけど ”さん” 付けで呼ばせてください!

クイズじゃねえんだ。はっきり言えよ。何が起きたんだよ。
夜だし暗かったし、でもあっという間にブバリアが真っ黒になって、あれ口の中にも入っていたよな。

ブバリア、苦しそうにもがいていたから。

リコリスさん、あれはゴキブリですよね! 

一瞬であんなに大量に呼び寄せられるものなんですか?


ブバリアがあっという間にゴキブリに覆い尽くされて、倍の大きさになったんですよ、先輩!

いやー見たかったな。地球上の昆虫が味方なんて最強だよ。


俺のスキルと相性いいと思う、一緒に組んでみない? 

あとでコンビネーションを試させて欲しい。

確かに。先輩のスキルと合いそうですね。
(あーもう。ミリン、少しは焼いて拗ねてくれるかと思ったのに)
俺のスキルとも相性いいと思うんだけど。
わ、リコリスってばモテモテ!
あの音ってゴキブリの羽音だったんだ。けっこう大きかったよね。
一瞬でブバリア制圧されたんだぜ。
ゴキブリと一緒にピックアップか。
なんだゴキブリか。すげーなリコリス。
顔を見合わせるクローブとヒノキ。
ちょっと! みんなどうして平気なの?

……ごめん、リコリス。助けてもらって悪いけど、私ゴキブリ苦手なの。

私も無理、一匹でも無理、マジ無理。
2人で手を握り合うクローブとヒノキ。
だってゴキブリなんて、普通に家にわんさかいただろ?
寒い地方に住んでいたから、私、見たことないです。

でもリコリスさんすごいです、ゴキブリも。命の恩人ですね。

ここは温暖だから虫たちの楽園。

ビオラちゃん、ゴキブリ先輩ってすごいのよ。3億年くらい前から地球に居るそうよ。


本当に頼れる大先輩なの。

と、リコリスは笑顔で語った。
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