第26話 リコリスへの誕生日プレゼント
文字数 1,030文字
遠くで目を合わせ、驚き固まるリコリス。距離を保ったまま、
嘘ばっかりと顔を見合わせるみんな。不思議そうな顔のリコリス。
ヒイラギはデイパックの中から、小さな正方形の箱を取り出す。
水色の包み紙に金と銀の細いリボン。
中身は小さなネックレスだった。
よく見ると蝶が羽を広げたデザインで、羽の部分にキラキラ光を反射する宝石が埋め込まれている。
それまで黙って聞いていた男子だったが、我慢できずキレだした。
思わず上級州国民の孫を呼び捨てにするコウジ。
そのときずっと険しい顔で黙っていたクローブが口を開いた。
ヒイラギさん、あなたは、権力を笠に着てリコリスが抵抗できない立場なのをいいことに、暴虐武人な行為を繰り返してきました。リコリスが精神的、肉体的ダメージを受けていたのをわかっていますか?
今までいろんな権利を受ける機会を失墜してきたはずです。
そのネックレスは示談金のつもり? 相手が上級州国民だからって簡単に示談には応じないわよ!
サンショウの思惑通り、いやそれ以上に女子のテンションが爆上げ。
一気に9番ゲートに活気が戻ってきた。
それを遠巻きに見ながらナンテン教授、チャイ、アールグレイは談笑。
テラスで深蒸し茶をいただきながら。