第14話 女は複雑(サンショウ談)
文字数 1,096文字
バカ言うな、俺はおまえのこと女っていうか、そういう目でしか見られねぇよ……
(妙だな、『二枚舌(ダブスタ)』で見ると、リコリスの胸のアラートが微妙に揺らめいている)
(ひょっとして、ひょっとしてだけど、ヒイラギのこと男として意識し出している?)
(……わかんねぇ、女の気持ちって複雑。俺はやっぱりわかりやすい女の方がいいかも。目の前で鼻息荒く興奮しているポニーテールのゴリラの方が……)
オマエ、さっきから聞いてりゃ、リコリスとやりたいだけじゃねえか!
そういうんじゃなくて、俺にとって女を感じるのはリコリスだけっていうか。
大学の彼女とは別れるよ。あいつ俺のステイタスにしか興味無さそうだし。
彼女に選ぶ権利あるしね。俺も立候補しようかな。
リコリスちゃん、俺と友達になってくれませんか?
あ、てめえ、じゃ俺も友達からでいいよ、とにかく二人っきりになろうよ。
大騒ぎの輪を遠くから笑いながら見ていたが、そろそろいいかな? と入るチャイ。
ダメですよ、あんまりごねると嫌われますよ。
ヒイラギさん、今回はいろいろとありがとうございました。これでお引き取りください。
シナモン君、無事でよかった。みんなも。
日頃の行いにより天使のご加護があったのでしょう。さあ撤収しますよ。
一行は船にビーチョコメンバーとジンジャーを乗せ、帰路へと急ぐ。
途中でビーチョコメンバーは極北脳機能研究センターで下船し、SNSで叩かれすぎたメンタルケアをすることとした。
俺も少しのんびりしたいな。しばらく置いてもらえませんか?
なんか雰囲気変わりましたね。サイコパス味ゼロというか。
実はね、誰かさんのブラックホールで破損してさ(シナモンをチラッと見る)
再起動するとき、セージがテレビ向けタレントの汎用スキルを詰め込んだんだ。
それで万人受けするキャラになっちゃったみたい。
1期でそんなこともありましたね。
その節はどうも。ま、あれはお互い様ですから、水に流しましょう。
(思わずみんなには内緒の、”祖父キャラ”が出てしまう)
(ほんと、みんなって警戒心をどこかに置き忘れているよね。直前まで敵だったのに)
無反応。本音と建て前の乖離無し。
(小声で)ルクリアとチャイよりはずっと安全だね。
(船を見送りながら)
泣いたり笑ったり、あんなリコリス初めて見たな。
……くそ、むちゃくちゃ可愛かった。
そして我慢できずに即連絡する、進歩しないヒイラギ。
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