第10話 北陸保養所前、沖合に到着

文字数 757文字

北陸の海沿いにある上級州国民様専用『北陸保養所』


広大な敷地上に平家造りの和風コテージが並び、荒々しい海、穏やかな海、朝焼け夕焼け、四季折々の景観が露天風呂から楽しめる。

生け簀兼水族館が併設され、新鮮な魚介類と特産牛のバリエーション豊かな料理は五つ星。

船から降りてヒイラギに連絡するリコリス。


不機嫌顔でリコリスの脇を固める女子メンバーとコウジ。

サンショウは背後でステルス・ドローンを操縦し、建物全体図の把握に努めている。

チャイとナンテン教授は船で待機。

今着きました。
保養所ロビーから飛び出してくるヒイラギ。
(こいつがヒイラギか……フルボッコにしてやる)
(リコリスを守らなくちゃ)
(女の子の敵!)
(なんでもいいから早くしてくれ)


(こうしている間にもシナモンは……)

なんだ、その連中は。
私の仲間です。
いいから来いよ。

(リコリスの左手首を掴み、強引に引っ張る)

ちょっと、乱暴はダメだよ! 手を離して。
ヒイラギさん、最初に私のお願いを聞いてください。
なに、言って。
私の友達がここで、立川セージに軟禁されているの。


私達全員をチェックインしてください。そこまででいいです。

建物の中に入ったら、あとはこちらで何とかしますから。

その言い方なんかムカつくな。俺がまるで無能みたいに。


立川家のお気に入りはビオトープ西館だよ。

ほら、そこの夕日が映える一棟。(アゴで指す)


オマエ達どこかで見たと思ったら、ふじロックバトルの非公式メンバーか。

意外と地味だな。友達ってシナモン? へえ。


ほら来いよ、上級州国民の2親等であるヒイラギ様が案内してやる。

わかったから、なんでもいいから、頼むよ。
こんな男に頼らなければいけないなんて、悔しい!
全部終わったらフルボッコにしようぜ。
(この生まれ持っての俺様気質、だんだん親近感。他人とは思えなくなってきた)
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