第20話 ブバリア奇襲

文字数 801文字

おぼろ月夜の薄明かりの中、ルクリアが東屋に近づいてくる。


そして東屋の屋根の上に誰かが降り立つ音、小鳥にように。

さっそくおいでなすった。
上空、ブバリアの生体信号をキャッチしたコウジが、小型デバイスを手に公民館から飛び出してくる。


続く男子メンバー。ゴマも愛用のボーガンを携えている。

すぐにスキルが発動できるよう、スッと立ちポーズを決めるバジル。
カレイドスコープの迷路、私のポリゴンへようこそ。迷子にさせちゃうぞ?
アンチブースターの構えをするビオラ。
あがけばあがくほど、沼ですよ。
かたわらでナツメグも剪定鋏をスタンバイ。
縁切りしたら修復不可能、永遠の平行線。近づいてもいつの間にか帰り道。
『条件変更(リスケジュール)』の呪文を確認するシナモン。
足並み揃えてリスケ、抜け駆け禁止、とりあえず問題は先送り。
ささやくリコリス。
先輩、お願いします。
東屋の屋根の上にて、
ルクリアぁ、この中の誰をピックアップすればいいの?

運営から依頼されているのは、シナモン。(指さす)

前にさぁ、カモミール国への手土産によさそうだって言っていたのは、どの人?
あ……それは、今回は止めておこうよ。
金になりそうな2人がいるって言っていたじゃん。どの人とどの人? 早く教えろよ。
ルクリアがゆっくり指さしたのは、ビオラとリコリスだった。


リアルな人選に、場が凍りつく。

金になる2人は、俺がピックアップしてカモミール国へ連れて行く。


運営の依頼の女は、お前がマイクラで運べよ。

行き先は変更無しだから。

複合船研修の集合場所は、十島列島の北から4番目、

言葉の途中でブバリアは微かなうめき声を漏らした。

そしてそれっきりブバリアは消えたのだ。自分をピックアップし退散したと思われた。


東屋の下にいたメンバーは何が起こったのか、まったく検討がつかなかった。


リコリスを除いては。


なにが起きたのか、月明かりの下目撃していた男子メンバー達の答え合わせは、次の次の回で。

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