第27話 川辺で蛍観賞デート

文字数 923文字

オマエ達、ギャーギャー騒いでヒイラギ先輩の邪魔をするな。

ヒイラギ先輩、リコリスに用事があるみたいだから、2人っきりにさせてあげなさい。

2人っきりは危ねーよ。ヒイラギ、ずっと盛ってんじゃん。
こらこら、下品なことを言うなって。


歩く兵器のリコリスに、心配はご無用。

まあ、言われてみりゃそうだな。


リコリス、襲われそうになったら大先輩呼ぶんだぞ!

にっこり笑うリコリス。
川沿いを歩く2人。
ネックレス、つけてみてよ。

おまえ意外と不器用だからさ、マグネットでくっつく仕様になっている。

髪の毛をよけてネックレスをつけるリコリス。


ヒイラギはリコリスの左耳たぶの傷を見て、

ICチップ取り出したんだ。

……痛かっただろ? 悪かったな。

サフラン先生とアールグレイさんが処置してくれたの。
アールグレイって名前聞いたことある。この前の北陸保養所には来ていなかったよな。
うん。アールグレイさんはね、頭が良くて優しくて穏やか、お話しも面白いの。

でね、少しお茶目なの。私のこといつも誉めてくれるのよ。


「大人」って感じかな。

…………
ムッとするヒイラギ。そんなヒイラギを横目で見て、リコリスは川沿いのベンチに座る。


9番ゲートに夕闇が降りてきて、蛍がリコリスを取り囲む。

ぎこちなく隣に座るヒイラギ。少し不自然な距離を置いて。

(リコリスの胸元のネックレスを見て)


やっぱり似合う。イメージ通り。

ありがとう。大切にする。


どういうイメージだったの?

ヒイラギは一瞬リコリスと目を合わせ、視線を落とした。
そういうイメージ。おまえって透明でキラキラして……
恐る恐るリコリスの左手を握るヒイラギ。
これくらいならいいだろ?


……誰だよ、大先輩って。まさか、もう別につき合っている男がいるのかよ。

ふふっ、ピンチの時駆けつけてくれるゴキブリ大先輩だよ。
ゴキブリ!
実はヒイラギ、大学でゴキブリの形態を模した追尾装置を研究中だった。
バッタ先輩とも仲良くした方がいいよ。

だってどんどん形態や色を変えられてカッコいいんだよ。

どうやって仲良くするの。
昆虫談議に花を咲かせる2人。


2人の会話を盗み聞きしようと、こっそり近づいたサンショウとカルダモン。

ポツポツと話しながらも会話が途切れない2人を見て、怪訝な顔をするのであった。

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

背景色
  • 生成り
  • 水色