幼い西瓜

文字数 227文字

すいかには何故か、あどけなさを感じる。より正確に言うなら、子どもが喜ぶ果物というイメージがかき立てる憧憬。

かつて持ち合わせていたはずの透明感。透き通った氷のように、どこまでも光を吸収する純粋さ。すいかの食感に夏を感じ、日差しは海への道標で、日焼けは思い出の足跡。

今はもう、西瓜は西瓜。元気な太陽に感じるのは、明日への期待より自分との温度差。ヒグラシが告げるのは寂しさより時の流れ。

私は変わった。あの頃と違う。
唯一変わらないのは、あなたと見上げるこの夏空。
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