お願いどうか　嫌いにさせて

　
叶わないなら
お願いどうか
嫌いにさせて。


君は虹。
目の前にいるのに
決して触れられない。

こんなにも美しいのに
愛でることで精一杯。
そばには、いられない。

虹の幸せ。
二つの足で支えられ
安定して確立された
絵に描いたような神々しさ。

僕の世界に
突如光り始めた虹。
あまりの美しさに見惚れて
気づけば、ずっとこの世界を
照らし続けてくれるのだと
いいように思い違いをした。
七色の光を知らなかった僕は
その光の優しさに
心底陶酔した。



けれど。



触れてはならない、
僕のものではない。

見てはいけない、
忘れなきゃいけない。

手を伸ばしてはならない、
始まるはずがない。

喜んではいけない、
叶えてはいけない。

なのに。

僕は、
美しい君を
否定することができない。

僕は、もう
何もすることができない。

だから。

お願いどうか
嫌いにさせて。

お願いどうか
絶望させて。

お願いどうか
拒絶して。

お願いだから、
この期待を、
粉々に
砕き壊して。


君の笑顔なんか、
大嫌いだ。





そう思えるよう頑張るから。





叶わないなら
お願いどうか
嫌いにさせて