娘のあなたへ 〜Wedding Day〜

文字数 712文字


(はるか)、手を繋いで歩いたあの日を覚えていますか。

あなたがまだ幼稚園児だったころ。毎朝、幼稚園のバスを待つ場所まで、手を繋いで歩きましたね。家から5分と掛かりませんでしたが、あの時間がとても好きでした。

ちょうど今頃の季節に、雨上がりの朝で、バス停の近くには大きな水たまりができていました。あなたはそこへ駆け寄るものだから、私はそれを呼び止めました。買ったばかりの長靴で、飛び込むと思ったからです。でも、違いました。

水たまりの淵で立ち止まり、楽しそうに覗き込んでいました。あなたは言いましたね、「お空がある」と。その水たまりには、青空が反射して映っていました。そう言われるまで、大人の私には雨水が残っているとしか認識できませんでした。そのとき、あなたが見ている世界はとても美しいのだと、その心がとても美しいのだいうことに気づき、嬉しかったのです。

この間、夕立を見送ったあとに愛犬のルークと3人、いや、2人と1匹で久しぶりに散歩をしましたね。そのときあなたは言いました、雨上がりの空が好きだと。虹がかかるかもしれないと思うとワクワクするし、残った水たまりにも空が映って楽しいと。


そんなあなたが選んだ相手です。2人が手を繋げば、これからの人生をより暖かく、そして楽しくしていけるでしょう。拓真(たくま)くん、遥は私の、そして黄瀬(きせ)家の宝です。きっと大切にしてやってください。

遥、私たちはいつもここにいて、背中を押し、そして時に背中を抱く存在であるでしょう。だから、これからも思いっきり、美しい世界を堪能してください。


心からの祝福を贈ります。本当におめでとう。そして、ありがとう。


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