【モノローグ】闇属性

文字数 644文字

君のことが大好きだよ。だからお別れしよう。

このままいっしょにいては、僕は君を傷つけることになる。さよなら、光の君。

君は純粋で透き通った目をしているね。だからこれ以上、その目で僕を見つめないで。孤独や自己卑下、逃避や自己欺瞞の塊なんか、もう見なくていい。純粋なままでいたいでしょう。

君がそばにいてくれたのは、気まぐれなんかじゃない。繋いだ手からそれは確かに伝わっていたよ。でもこのまま一緒にいたら、君も光の裏に生きざるを得なくなるよ。ねえ、君は影を彷徨う必要なんてない。だからここは、僕の隣は、君の居場所じゃないんだってこと、わかるでしょう。

大丈夫、心配ないよ。君のことだもの、探さなくても似合いの人がすぐに現れるから。甘い香りを纏う薔薇のような愛らしさに、春の日差しのような包容力。君の引力は底知れない。人を惹きつけないはずがない。その証拠に、友達もたくさんいるね。君はひとりになんて、なれない。そうでしょう。



自分と真逆のヒトを見るのは楽しかろう。未知の世界を垣間見るのは面白かろう。でもこれ以上進んだら、戻れなくなるから、止めてあげる。ここから先は、純粋な君には刺激が強すぎる。興味本位な毒の味見はもう終わりにしなよ。

相手が自分にないものを持ってるから、お互いを知り合うことで高め合える、わけない。君の中にあるものなんか、そんな一点の曇りもない光になんか、僕は興味がない。



でもね。いいよ。もし闇の底を見たくなったら、僕のもとへ戻っておいでよ。お望み通りに、深く深く、突き落としてあげる。

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