洗練された横顔

文字数 306文字

 突然の配置転換で、隣席に舞い降りた牡丹。同僚からは羨望されたが、物理的距離と親密度は相関しないと言い捨てた。

 ある日、仕事で凡ミスした。軽症だったが、僕の中で何かが許せなかった。無意識に溢れる嘆息。
 冴えない僕の溜息を、君は頑張った証拠だと言った。
「お疲れ様です。程よく緩める魔法、差し上げますね」
 差し出される一口チョコ。彼女もよく助けてもらうと、笑って言った。次第に目の前のパソコンに戻される視線。美しい横顔。

 洗練、それは試行錯誤の末に得る輝き。諦めの選択肢を有しながらも前を向き続けた証拠。

 チョコより頼れる相棒になってやる。そう決めた。身の程知らずなど言わせない。僕史上最大の、貫徹必須案件の幕開け。
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