【オトナノトイキ】どうして
文字数 510文字
どうして。待てど暮らせど君は抱いてくれない。告白から半年、頃合いでしょう。こちらは準備万端。ひとりで、勝手に、準備万端。
強く抱きしめても、優しく撫でても、唇で伝えても、視線でお願いしても、君は頑なに冷静。ひとりで、勝手に、じれったい。
曖昧な態度に耐えきれず、情で付き合っているのかと聞いたことがある。その答えは「無闇に触れちゃいけない気がする。壊しちゃいそうで」。とても不思議な答えだった。愛で、人が壊れるはずがないのに。
今日も隣で冷静な君。体を寄せてもテレビから視線を剥がしてくれない。こっちを見てよ。この声を聞いてよ。遠くの他人じゃなくて、そばにいるこの存在を、このカラダを、この全てを欲してよ。
「どうして?」
答えは求めていない。きっと今日も反応などない。耳元に送りつけるだけの言葉。そのはずだった。
「大切だから、警告したのに」
重なる唇、交わる唾液。君の唇に宿る、音にならない言葉は「我慢ならない」。
「壊しちゃっても知らないよ」
準備はできていたはずなのに、冷静に戻れない。いつも触れている指に焦らされる。いつも聞いている声に攻められる。いつも見ている瞳に翻弄される。
どうして。君からこんなに溢れる愛情、予想してない。
強く抱きしめても、優しく撫でても、唇で伝えても、視線でお願いしても、君は頑なに冷静。ひとりで、勝手に、じれったい。
曖昧な態度に耐えきれず、情で付き合っているのかと聞いたことがある。その答えは「無闇に触れちゃいけない気がする。壊しちゃいそうで」。とても不思議な答えだった。愛で、人が壊れるはずがないのに。
今日も隣で冷静な君。体を寄せてもテレビから視線を剥がしてくれない。こっちを見てよ。この声を聞いてよ。遠くの他人じゃなくて、そばにいるこの存在を、このカラダを、この全てを欲してよ。
「どうして?」
答えは求めていない。きっと今日も反応などない。耳元に送りつけるだけの言葉。そのはずだった。
「大切だから、警告したのに」
重なる唇、交わる唾液。君の唇に宿る、音にならない言葉は「我慢ならない」。
「壊しちゃっても知らないよ」
準備はできていたはずなのに、冷静に戻れない。いつも触れている指に焦らされる。いつも聞いている声に攻められる。いつも見ている瞳に翻弄される。
どうして。君からこんなに溢れる愛情、予想してない。