用語注

文字数 1,497文字

 石橋(しゃっきょう)
▲ 能の作品の一つ。
 法師が山中で浄土(じょうど)へ続く細い石橋を渡ろうとすると、仙人が現れ
 「ここで待っていれば奇瑞(きずい)(めでたい事の前兆として起きる不思議な現象)が見られる」
 と告げて消える。
 やがて橋を渡って獅子(しし)が現れ、牡丹(ぼたん)(たわむれ)れつつ乱舞する。
 獅子は文殊菩薩(もんじゅぼさつ)の使いであり、世界を祝福する勇壮な舞を終えると、文殊菩薩の元へ戻ってゆく。
  後半部分の獅子の舞のみ演じられることが多い。


 朝駆け
▲1:朝早く馬を走らせること。
 2:朝早く敵陣を不意打ちに襲うこと。


 信府(しんぷ)
▲ 松本(現・長野県松本市)。当時「信濃国の国府」であったため、それを略して「信府」と呼んだ。


 八幡原(はちまんぱら)の戦い
▲ 永禄四年(一五六一年)の第四次川中島合戦。
  真田昌幸(武藤貴兵衛)の初陣とされる。


 十里
▲ 約40km。一里はおよそ3.93km


 青鹿毛(あおかげ)
▲ 馬の毛色の一種。全身ほとんどど黒色で僅かに褐色が見える。


 九寸(きゅうき)
▲ 中近世の日本では、馬の体高は四尺(約一二〇cm)が基準で、それを越える馬は「四尺」を省略した長さで表した。
  「九寸の馬」は、体高四尺九寸(一四八cm前後)の意。


 床几(しょうぎ)
▲ 折り畳み式の簡易腰掛け。


 未の下刻(げこく)
▲ 午後三時三十分ごろ


 計無保乃梨(けんぽのなし)
▲ クロウメモドキ科ケンポナシ属の落葉高木。玄圃梨。
  花期は六月~七月で、果実は九~一〇月に熟す。
  果柄を乾燥させたものが生薬のキグ。二日酔いの薬とされる。


 山がつ(山賤)
▲ 山中で猟師・きこりなどを生業として生活している、封建社会的な意味で身分の低い者。


 子の三つ
▲ 深夜〇時三十分前後


 エピソード「故宿人身」における、五助爺さんと垂氷(つらら)の台詞(東信濃訛)の標準語訳
▲「矢沢の殿様に有難い御札を頂戴できると聞いて、慌ててやって参りましました。どうか私を助けてやってくださいませ」
▲「先日、この五助おじさんのところの一番上の息子が急に死んでしまい、お母さんがそれはもう泣いて泣いて、とうとう寝込んで起きることが出来なくなってしまいました。
  あまりに可哀相なので、私の所で神様にお伺いたてましたら
  『簡単なことだ、矢沢の殿様には諏訪大社の御社宮司(ミシャグジ)様の神様が入っておられるから、お殿様から御札を頂けば、たちまち治るでしょう』
  と仰せになりました。
  そこで矢沢のお殿様を探したら、こちらにいらっしゃるというので、慌てて参りましたのでございます。
  私の神様の言うことに間違いはございません。殿様、一枚作ってださいませ」


 二時辰(ふたとき)
▲ おおよそ四時間


 十六の面
▲ 能面の一種。若い武将の顔立ちを表したもの。
  源平一ノ谷の合戦で源氏方の武将・熊谷(くまがい)直実(なおざね)に討たれ没した(たいらの)敦盛(あつもり)の十六歳の姿を写した面であるため、十六と呼ばれる。十六中将とも。
  美貌の若武者を演じる際に用いる面で、女面のように上品な顔立ちをしている。


 合当理(がったり)
▲ 甲冑(かっちゅう)当世具足(とうせぐそく))の胴部分の背中にあって、旗指物(はたさしもの)(個人識別用の目印)を固定するための器具の一つ。
  指物の竿を合当理から受筒というパーツに通し、待受というキャップ状の留め具で胴に固定する。


 長湫(ながくて)の戦
▲ 「長湫」は「長久手」の旧表記。
  天正十二年(一五八四年)、豊臣秀吉(当時は羽柴姓)陣営と織田信雄(信長の次男)・徳川家康との間に起きた「小牧・長久手の戦い」のこと。

 尺貫法
▲ 1分≒約3ミリメートル
  1寸≒約3センチメートル
  1尺≒30センチメートル
  1(こく)≒約180リットル
  1里≒3.924キロメートル
  (実測ではなく「半刻(1時間)で歩ける距離」で換算する場合もあり、坂道・山道などと平野部では長さが違うこともあり得る)
  
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登場人物紹介

真田源三郎信幸

この物語の語り手。

信濃国衆真田家の嫡男。

氷垂(つらら)

自称「歩くのが得意な歩き巫女」


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