第51話 武満徹と石川セリ

文字数 1,160文字

【お題】 あの夏に戻れたら

を考えていたら、ある歌が流れて来た。


『あの夏の光と影はどこへいってしまったの?』


 石川セリの『八月の濡れた砂』

 作詞 吉岡オサム

 作曲 むつひろし


 映画の主題歌だったのですね。観ていませんが。すごい内容で、亡くなった沖雅也が出演する予定だったとか。


 石川セリは井上陽水の奥さん。詳しく知らなかったのだが、反戦歌『死んだ男の残したものは』を、調べた時に興味をもった。

『死んだ男の残したものは』は、谷川俊太郎の作詞、武満徹の作曲による歌。ベトナム戦争のさなかの1965年、「ベトナムの平和を願う市民の集会」のためにつくられ、友竹正則によって披露された日本の反戦歌の1つである。


 谷川に作曲を依頼された武満は1日で曲を完成させた。


 倍賞千恵子、沢知恵、鮫島有美子、林美智子、ドミニク・ヴィス、石川セリ、高石友也、小室等、カルメン・マキ、岡村喬生、やもり(森山良子と矢野顕子)、夏木マリ、大竹しのぶ、藤木大地のように、ポピュラーからクラシックの歌手まで広く歌われている。

 後に、林光がピアノつきの混声合唱曲に編曲。その後、作曲者の武満自身も1984年に無伴奏の合唱曲に編曲した。これら合唱編曲も合唱団のレパートリーとして重要なものとなっている。


 6節の有節歌曲である。各節で、死んだ人たちや歴史の「残したもの」が2つずつ列挙されるが、その2つ以外に残したもの、あるいは残っているものは何もない、という内容の歌である。



作詞:谷川 俊太郎

作曲:武満 徹


死んだ男の残したものは

ひとりの妻とひとりの子ども

ーーーー

 ずっと《世界の武満》の音楽を聴かなきゃ、と思っていたけど……馴染めなかった。

『死んだ男の残したものは』は頭の中で鳴っている。

『色褪せない音楽』で反戦歌を投稿したのは2022年。まだ戦争は終わらない。

 石川セリが、武満徹の作曲した歌を歌っている。

『翼・武満徹ポップ・ソングス~石川セリ』

  

 1995年に10年ぶりのアルバムとして現代音楽の作曲家武満徹が、最晩年に手がけたポップソングのCDを発表し、純音楽とは全く異なるもう一つの武満徹の世界を紹介した。

 以前、偶々、石川セリの昔のアルバムを聴いて、自分が少しずつ、機にふれて書き溜めて来た小さな歌を、彼女にうたってもらって、なにか楽しいアルバムをつくってみたいな、と空想したことがあった。

『三月のうた』は

金八先生第5シリーズで、兼末健次郎が警察に逮捕・連行されていく場面でAmazing Graceの後に流れた曲。 

 YouTubeでは、珠玉のメロディー、健次郎を思い出す……等コメントがたくさん。

 武満徹は『燃える秋』も作曲していたんですね。真矢響子主演の映画の主題曲。

 純音楽よりこちらの印税が一番良かったそう。

燃える秋 ハイ・ファイ・セット
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