第23話 転がる石

文字数 863文字

【お題】セレブ生活に明け暮れた俺が、転生したら超貧乏 
 小学2年生の孫(女の子)に都市伝説の本を買ってあげたら、怖いくせに読んでくれ、とせがむ。そして、ひとりでトイレに行けなくなる。

 でも、私はときどき、都市伝説からヒントをいただく。

 1998年夕方、急な坂をジョギングしていたら、坂の頂上にピンクのスーツを着た、髪の長い女が後ろ向きに立っていた。


 ああ、待っていたのか、俺を?


 近づくと、突然女の首が180度後ろに倒れ、体は前を向いたまま、俺を目掛けて走ってきた。


 あれは……都市伝説の坂道の女!


 坂の上から、スーツを着た女が何人も追いかけてくる。凄いスピードだ。

 

 だんだんせまってくる。

 俺は恐ろしくなって一目散に逃げた。坂道を転がり落ちた。 

 


 声が聞こえてきた。


「かつて、あんたはいい身なりで、ホームレスに金を投げつけていた。

 言われただろ?

 今に痛い目みるぞ、って」


 振り向くと、スーツ姿の女たちは消えていた。

 俺の住んでいた街も消えていた。

 豪華なマンションも。

 

「良い学校を卒業したんだってね、でもわかっただろ、あんたはおだてられていただけさ。

 路上での生き方なんて誰からも教わらなかったが、あんたは今、その生活に慣れなくちゃいけない」


 そこは、古い町並み。スマホもつながらない。車も走ってない。

 季節も違った。

 寒い。寒い。木枯らしが舞う。


 俺は歩いた。食べ物を求めて。

 道行くものは軽蔑した目で俺を見た。

 かつて俺がそうしたように。小銭を投げつけてきた。見たこともない硬貨だ。


 やがて教会が見えた。

 俺はようやく古びたコートと、粗末な食糧にありつけた。

ライク・ア・ローリング・ストーン ボブ・ディラン

「ライク・ア・ローリング・ストーン」 (Like a Rolling Stone)は、アメリカのミュージシャン、ボブ・ディランの楽曲。

 1965年7月20日にシングルとして発売されアルバム『追憶のハイウェイ61』に収録された。ビルボード・Hot 100の2位を記録したディラン最大のヒット・シングルである。

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色