容疑者 運送屋の事件簿①

[ミステリー]

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(本作品は 2023年集英社ノベル大賞一次選考通過作品です。)
 厚木電装本社営業の堀田正俊は、厚木電装本社工場の荻原重秀生産管理係長から暴力を受けるが、これを叩きのめす。会社側は過剰防衛を唱えて堀田正俊を左遷させようとするが、正俊は弁護士を立てて会社に非を認めさせて退職金を得て退職する。長野の実家に帰って父が経営する運送会社で働く正俊は、中学時代からの知りあいで森田リンゴ園の一人娘智子と再会し、二人が相思相愛であるのを知って結婚する。
 一方、荻原は正俊に暴力をふるったため、厚木電装本社工場生産部をクビになり、下請けの溝端バッテリーの工場長に、妻の多恵は溝端バッテリーの出荷管理に勤務が決った。何かかおかしいと荻原は思った。
 厚木電装本社工場では貢献度が高い下請けに対して、納入品の不良品返品伝票があれば、不良品に対しても支払いがされていた。帳簿上で処理された不良品は、回収されて分解され、再生産に使用されたため、不良品の現物は存在しなかった。
 荻原が調べると、厚木電装本社工場では、不良品の現物が無いのに溝端バッテリーからの納入品受入れ数が深夜に改ざんされて、それに見合った支払いがなされ、溝端バッテリーでも、辻褄が合うように納入品の納入数が改ざんがされていた。
 荻原は、厚木電装本社工場で生産管理をしていた。妻多恵は外注部品の受入れ管理担当だ。全ての帳票に、荻原と多恵の確認印があるが、二人は不良品を良品として扱った事実は無く、コンピューターに詳しい者が納入データを改ざんしたと思われた。
 荻原は不正な支払いの主謀者に仕立てられたのを実感し、厚木から長野の正俊の元へリンゴを買いに行って、正俊に、納入品に関する不正を相談する。
 荻原が長野へ行っている間に、溝端バッテリーの溝端浩造社長が自宅で刺されて重体になり、その後死亡する。厚木署の田上刑事が荻原に容疑をかけるが、荻原は事件当時に長野にいたとの正俊の証言で荻原の容疑は晴れた。その後も田上刑事は正俊に荻原と溝端バッテリーと厚木電装本社工場の関係を尋ねた。正俊は智子とともに事件を推理して田上刑事に知らせた。正俊の助言で刑事たちは「厚木電装本社工場と溝端バッテリーの納入品に関する不正工作」が、国会議員が絡む政治献金事件と曝き、事件は東京地検に移された。
 正俊の助言で田上刑事は溝端浩造宅の周囲を再捜査した。その結果、燐家に住む溝端浩造の元愛人の園田ふみ子が、息子の父親が溝端浩造だと思いこんで、息子の将来を溝端浩造に相談して無視された腹癒せに溝端浩造を刺した事が判明した。
 厚木署の田上刑事は正俊に事件の全貌を説明して、正俊と智子に礼を述べ、今後の事件に関しても助言を依頼した。
 その後、荻原から正俊に、「溝端浩太郎会長が溝端バッテリーの社長に復帰し、俺は工場長に、妻は俺の片腕となって仲睦まじく働いている。子どもができた。またリンゴを買いに行く」とお礼の連絡がきた。

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小説情報

容疑者 運送屋の事件簿①

牧太 十里  makitajuuri

執筆状況
完結
エピソード
33話
種類
一般小説
ジャンル
ミステリー
タグ
総文字数
68,486文字
公開日
2023年06月17日 12:37
最終更新日
2023年07月18日 08:00
ファンレター数
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