十九 納入部品管理

文字数 958文字

「四班、杉山です」
 無線が入った。四班は技術指導員の名目で警護をかねて荻原重秀工場長の周辺に張りついて、溝端浩造が使っていたコンピューターにくわしい者が誰だったか調べている。

「田上だ。何か異変があったか?」
「溝端浩造社長の個人的な知人に、コンピューターにくわしい者はいません。
 溝端バッテリーのコンピーターのメンテナンスを請け負っている会社は、物流システム(株)です・・・」
 物流システム(株)は、厚木電装本社工場のコンピューターを管理している会社だ。
 溝端浩太郎会長が溝端バッテリーの社長だったとき、沢井課長が物流システム(株)に指示して、納入部品の管理システムを作らせて厚木電装本社工場の合理化をし、溝端バッテリーもこのシステムを導入していた。
 物流システム(株)は、現在も、溝端バッテリーのコンピューターと納入部品の管理システムの管理をしている。
 今朝の朝礼で、溝端浩造社長に代って溝端浩太郎会長が社長を兼任する通達があり、工場はいつもどおり稼動している。溝端社長の社葬が決り次第、一日休日にして喪に服す予定だ。

「会長が社長を兼任すると説明したのは誰だ?」
「会長の溝端浩太郎氏です。ここにいますよ。説明を聞きますか?」
「私は杉山君を信頼してる。コンピューターのメンテナンスについて君がくわしく聞け」
 田上は部下を信頼している。

「データの再入力の件ですね」
「そうだ。それと・・・」
 田上刑事は荻原重秀と森田正俊から事情聴取した内容を杉山刑事に伝えた。
「状況次第で二人の情報を溝端浩太郎会長に話す必要があるかもしれない。うまく使え」
「わかりました」
 無線が切れた。

 溝端バッテリーを調べたら、厚木電装本社工場と溝端バッテリーのコンピューターを管理する企業がわかった。どうやって物流システム(株)の動きを調べればいいか・・・。
 とりあえずこのことを、二班の高倉刑事に伝えよう。
「こちら田上だ。二班、高倉刑事!」
 田上刑事は二班の高倉刑事に連絡した。
 二班は厚木電装本社工場の沢井峯春課長の身辺を調べている。三班は二班に同行して、厚木電装本社工場と溝端バッテリーを監査している役員が、誰から誰に代ったかを調べている。

「高倉です」
「四班からの情報だ・・・・」
 田上刑事は四班の杉山刑事が得た情報を二班の高倉刑事に伝えた。

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