第70話 みーちゃんのお父さんの特技
文字数 993文字
今日のみーちゃんはお父さんのリンゴの特技を見ます。
みーちゃんは生のリンゴが好きではありません。アップルパイや焼きリンゴのように、加工したリンゴは大好きです。
でも、みーちゃんにはリンゴの季節ならではの楽しみがあります。それはお父さんの特技が見られるからです。みーちゃんのお父さんはリンゴをナイフを使わず、素手で真っ二つにすることができるのです。
仏間からリンゴをかごに入れて持ってきたみーちゃんは、茶の間のテーブルに置き、テレビを見ているお父さんにこうお願いします。
「お父さん、いつものやって」。
みーちゃんがリンゴを一つ手渡すと、お父さんは「あれか。いいよ」とあっという間に二つに割ってしまいます。
「すごーい!」
「そうか」。
それを横で見ていたナーちゃんが感心しています。
「あいかわらずきれいに二つに割るよね~。どうやんの?」
お父さんはテーブルのかごからリンゴを二つとり。一つをなーちゃんに渡します。
「これは力でやるんじゃないんだな。言わば気だな」。
なーちゃんは、もったいぶってしゃべるお父さんに、「いいから、いいから、そんな御託は。とにかく、やり方を教えてよ」。とじれったそうです。
「わかった、わかった。まず、リンゴを両手で包むように持つ」。
「わかった。こういう感じかな?」
お父さんが手本を示すと、なーちゃんもそれを真似します。
「そう。で、次に、待てよ、右利きだったよな?」
「うん、右利き」。
「右手の親指をリンゴの軸のところに立てる。つまり、リンゴの芯に垂直に親指の爪を立てるんだな」
「うん、立てた」。
「神経を親指に集中させて、息をハッと吐き出すように、親指を伸ばすと、は~い、この通り二つに割れました~」。
「すごーい!」
「あれ?ダメだ、割れない」。
お父さんのリンゴは二つに割れたのに、なーちゃんのは赤い皮に爪の跡が残ってるだけです。それを見て、お父さんは、首をかしげながら、「だから~、力でやるんじゃない。呼吸でやるんだよ」と指導します。
「よし、もう一回やってみようか。こういうのは練習して体でコツをつかむことが大切だから」。
そう言ってお父さんはかごからリンゴを一つとります。
──え?またやるの?でも、生のリンゴ好きじゃないのに、そんなにリンゴを割っちゃったら……
誰がこんなにリンゴを食べるんだろうと不安を覚えるみーちゃんなのです。
みーちゃんは生のリンゴが好きではありません。アップルパイや焼きリンゴのように、加工したリンゴは大好きです。
でも、みーちゃんにはリンゴの季節ならではの楽しみがあります。それはお父さんの特技が見られるからです。みーちゃんのお父さんはリンゴをナイフを使わず、素手で真っ二つにすることができるのです。
仏間からリンゴをかごに入れて持ってきたみーちゃんは、茶の間のテーブルに置き、テレビを見ているお父さんにこうお願いします。
「お父さん、いつものやって」。
みーちゃんがリンゴを一つ手渡すと、お父さんは「あれか。いいよ」とあっという間に二つに割ってしまいます。
「すごーい!」
「そうか」。
それを横で見ていたナーちゃんが感心しています。
「あいかわらずきれいに二つに割るよね~。どうやんの?」
お父さんはテーブルのかごからリンゴを二つとり。一つをなーちゃんに渡します。
「これは力でやるんじゃないんだな。言わば気だな」。
なーちゃんは、もったいぶってしゃべるお父さんに、「いいから、いいから、そんな御託は。とにかく、やり方を教えてよ」。とじれったそうです。
「わかった、わかった。まず、リンゴを両手で包むように持つ」。
「わかった。こういう感じかな?」
お父さんが手本を示すと、なーちゃんもそれを真似します。
「そう。で、次に、待てよ、右利きだったよな?」
「うん、右利き」。
「右手の親指をリンゴの軸のところに立てる。つまり、リンゴの芯に垂直に親指の爪を立てるんだな」
「うん、立てた」。
「神経を親指に集中させて、息をハッと吐き出すように、親指を伸ばすと、は~い、この通り二つに割れました~」。
「すごーい!」
「あれ?ダメだ、割れない」。
お父さんのリンゴは二つに割れたのに、なーちゃんのは赤い皮に爪の跡が残ってるだけです。それを見て、お父さんは、首をかしげながら、「だから~、力でやるんじゃない。呼吸でやるんだよ」と指導します。
「よし、もう一回やってみようか。こういうのは練習して体でコツをつかむことが大切だから」。
そう言ってお父さんはかごからリンゴを一つとります。
──え?またやるの?でも、生のリンゴ好きじゃないのに、そんなにリンゴを割っちゃったら……
誰がこんなにリンゴを食べるんだろうと不安を覚えるみーちゃんなのです。