第7話 学級委員に立候補するみーちゃん

文字数 840文字

 今日のみーちゃんは学級委員に立候補します。

 新学期を迎えたので、学級委員が新しくなります。ホームルームの時に決めることになっています。

 担任の岩田先生が、学級委員を決めるので立候補する人は挙手して欲しいとクラスのみんなに呼びかけます。

 でも、誰も手を挙げません。

 「なんだ、誰もいないのか?」

 ──誰も挙げないな~。そうか、みんな困ってるんだな。よし、みんなを助けなきゃ、

 みーちゃんは正義漢です。

 「はい!学級委員に立候補します!」

 みーちゃんは勢いよく手を挙げて、そう岩田先生に訴えます。

 すると、クラスがざわつき始めます。みんなは「えー!」とか「みーちゃんが~?」とかといった声をあげています。

 「そ、そうか。積極的なことはいいことだぞ。だ、誰か他にいないか?いないとこれで決まっちゃうぞ」

 岩田先生はうろたえながら、クラスを見渡しこう呼びかけます。

 すると、れい子ちゃんが手を挙げ、こう言います。

 「先生、学級委員には高橋さんがいいと思います」。

 それを聞いたみんなは、「そうだよな~」とか「高橋さんはいいよ~」とか口々につぶやいています。

 岩田先生は、ほっとした表情で、左右を軽く見まわし、確認します。

 「もう他にはいないな?」

 クラスのみんなが一斉に声をあげます。

 「いませーん!」

 それを聞いた岩田先生は、左端の列の前から4番目の席に座っている高橋さんに向かって、こう話しかけます。

 「よし、高橋、学級委員をやってくれるか?」

 「はい」。

 高橋さんが静かにそううなずきます。

 「よし、決定だ。学級委員は高橋で決まりだ。みんなで拍手しよう」。

 岩田先生がそう呼びかけます。クラスのみんなが歓声を上げながら、拍手します。

 「高橋、大変だけれど、大切な役目だ。がんばれよ、みんなも高橋に協力するように」。

 岩田先生は満足そうです。

 ──あの~、最初に立候補するって手を挙げたんだけど、それはどこに行っちゃったの?

 このクラスの民主主義は死んだと嘆くみーちゃんなのです。
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