第94話 丸ごとアップルパイを食べるみーちゃん

文字数 1,165文字

 今日のみーちゃんは丸ごとアップルパイをおやつに食べます。

 寒くなると、みーちゃんのうちでは、リンゴをよく食べます。みーちゃんは、生はそれほどではありませんが、加工したリンゴが大好きです。中でもアップルパイが大のお気に入りです。パリパリのパイ皮に、しっとりとしたリンゴのハーモニーがたまらないのです。

 お母さんがめずらしかったからと「青森りんご丸ごとアップルパイ」を生協で買ってきます。リンゴが丸ごと1個パイになっているのです。お母さんがおやつに食べていいと言ったので、みーちゃんはそうすることにします。

 学校から帰って来たみーちゃんは冷蔵庫からパイの箱をとり出します。テーブルの上で開けると、中に真空パックが入っています。キッチンバサミで袋を切り、お皿にパイを出します。

 ──わー!すごーい!ほんとに、リンゴが丸ごと1個入ってるんだ!

 みーちゃんは果物ナイフでパイを半分に切ります。2分の1のパイをナイフで4分の1にし、さらにそれを8分の1に切り出します。

 みーちゃんは8分の1のパイをデザートフォークで一口分切りとり、口に運びます。

 ──おいしー!

 これは普通のアップルパイと違います。パリパリのパイ皮の中のリンゴがシャキシャキしているのです。こんなアップルパイは初めてです。

 ──ああ、おいしかった!でも、これくらいにしとこっと。

 8分の1ピースを食べ終わったみーちゃんは残りのパイにラップをして冷蔵庫に戻します。
 でも、閉めたドアを見ていたら、ちょっと物足りなくなってきます。

 ──もうちょっとだけならいいよね。

 みーちゃんは冷蔵庫のドアを開けてパイを取り出します。テーブルに戻り、8分の1ピースをフォークで一口分切りとり、口に運びます。

 ──おいしー!

 食べ終わったみーちゃんは冷蔵庫にパイを戻します。

 でも、閉めたドアを見ていたら、また物足りなくなってきます。

 ──もうちょっとだけならいいよね。

 みーちゃんは冷蔵庫のドアを開けてパイを出し、テーブルに戻ります。果物ナイフで8分の1を切り出し、フォークで一口分切りとり、口に運びます。

 ──おいしー!

 食べ終わったみーちゃんは冷蔵庫にパイを戻します。

 でも、閉めたドアを見ていたら、また物足りなくなってきます。

 ──もうちょっとだけならいいよね。

 みーちゃんは冷蔵庫からパイをとり出し、テーブルに戻ります。

 結局、みーちゃんは冷蔵庫とテーブルの間を7往復します。8回目に冷蔵庫に戻ろうとした時、みーちゃんはハッとします。

 ──あれ、なくなっちゃった!

 テーブルの上にパイはもうありません。みーちゃんがみんな食べてしまっています。

 ──どうしよう!どうしよう!どうしよう!

 お母さんへの言いわけで頭がいっぱいになり、お腹いっぱいのことも忘れてしまったみーちゃんなのです。
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