第72話 おもちが大好きなみーちゃん
文字数 1,066文字
今日のみーちゃんはもちつきがすむのを待っています。
みーちゃんのうちでは、毎年、12月30日におもちをつきます。前はぬか釜で焚いたもち米を臼と杵でついていましたが、今はナショナルの電気もちつき機です。
ぬか釜は鉄製のかまどです。円筒形の郵便ポストを小さくした形で、上におかまを乗せます。ぬかとはもみがらのことです。それを燃料にするので、ぬか釜と呼ばれています。薪のかまどと違って、火の調整が要りません。目を離していても安全ですから、便利です。
昔はご飯もぬか釜で炊いています。朝、野良仕事に出る前にぬか釜の火をつけておけば、家に戻ってきた頃に炊き上がっているのです。でも、お祖母ちゃんは火をつけ忘れたり、着火したかを確かめなかったりしたまま出かけるので、お腹を空かせて家に戻ってきてもご飯が食べられないことがよく起きています。
今はぬか釜でもち米を炊きません。その代わりに、全自動のもちつき機を使い、臼と杵でもちつきををしなくてすむので、ぬか釜よりもっと便利です。
みーちゃんのおうちは岩手県北上市相去町にあります。そこは、江戸時代、伊達藩領です。伊達藩はもち文化で知られています。おもち料理だけで300種類あるとされ、餅懐石もあるのです。
みーちゃんはおもちが大好きです。特に、きな粉もちやゴマまぶしもちがお気に入りです。でも、納豆もちはくさいので、食べません。
──早くできないかな~、待ち遠しいな~。
みーちゃんは待ちきれなくて、時々、もちつき機の様子を見に行きます。もちつき機はようやく回転を始めたばかりです。
でも、おもちがつき上がるのをまったく待ち望んでいない人もいます。それはきーちゃんです。
みーちゃんは3人兄妹の末っ子です。なーちゃんが小兄ちゃんで、きーちゃんは大兄ちゃんです。きーちゃんは何でもよく食べますが、二つだけ苦手なものがあります。ドーナツとおもちです。みーちゃんはどちらも大好きなので、その気持ちがわかりません。みーちゃんが理由を聞いても、きーちゃんは「人はドーナツともちのみに生きるにあらず」と答えるだけです。お父さんは「伊達男がもちを食べないなんて、パスタの嫌いなイタリア人のようだな」と笑います。
元日の朝も、きーちゃんだけおもちの入っていないお雑煮をすすっています。みーちゃんには、カレーライスのルーだけを食べているみたいで、ぜんぜんおいしそうに思えません。
──なんでこんなにおいしいおもちが嫌いなのかな?
きーちゃんのかたくなな態度とあやふやな理由にミステリーを感じるみーちゃんなのです。
みーちゃんのうちでは、毎年、12月30日におもちをつきます。前はぬか釜で焚いたもち米を臼と杵でついていましたが、今はナショナルの電気もちつき機です。
ぬか釜は鉄製のかまどです。円筒形の郵便ポストを小さくした形で、上におかまを乗せます。ぬかとはもみがらのことです。それを燃料にするので、ぬか釜と呼ばれています。薪のかまどと違って、火の調整が要りません。目を離していても安全ですから、便利です。
昔はご飯もぬか釜で炊いています。朝、野良仕事に出る前にぬか釜の火をつけておけば、家に戻ってきた頃に炊き上がっているのです。でも、お祖母ちゃんは火をつけ忘れたり、着火したかを確かめなかったりしたまま出かけるので、お腹を空かせて家に戻ってきてもご飯が食べられないことがよく起きています。
今はぬか釜でもち米を炊きません。その代わりに、全自動のもちつき機を使い、臼と杵でもちつきををしなくてすむので、ぬか釜よりもっと便利です。
みーちゃんのおうちは岩手県北上市相去町にあります。そこは、江戸時代、伊達藩領です。伊達藩はもち文化で知られています。おもち料理だけで300種類あるとされ、餅懐石もあるのです。
みーちゃんはおもちが大好きです。特に、きな粉もちやゴマまぶしもちがお気に入りです。でも、納豆もちはくさいので、食べません。
──早くできないかな~、待ち遠しいな~。
みーちゃんは待ちきれなくて、時々、もちつき機の様子を見に行きます。もちつき機はようやく回転を始めたばかりです。
でも、おもちがつき上がるのをまったく待ち望んでいない人もいます。それはきーちゃんです。
みーちゃんは3人兄妹の末っ子です。なーちゃんが小兄ちゃんで、きーちゃんは大兄ちゃんです。きーちゃんは何でもよく食べますが、二つだけ苦手なものがあります。ドーナツとおもちです。みーちゃんはどちらも大好きなので、その気持ちがわかりません。みーちゃんが理由を聞いても、きーちゃんは「人はドーナツともちのみに生きるにあらず」と答えるだけです。お父さんは「伊達男がもちを食べないなんて、パスタの嫌いなイタリア人のようだな」と笑います。
元日の朝も、きーちゃんだけおもちの入っていないお雑煮をすすっています。みーちゃんには、カレーライスのルーだけを食べているみたいで、ぜんぜんおいしそうに思えません。
──なんでこんなにおいしいおもちが嫌いなのかな?
きーちゃんのかたくなな態度とあやふやな理由にミステリーを感じるみーちゃんなのです。