第68話 みそのおにぎりを食べるみーちゃん

文字数 799文字

 今日のみーちゃんはみそのおにぎりを食べます。

 お休みの日のお昼に、冷たくなったごはんがある時、お母さんがみそのおにぎりを作ってくれます。みそをつけたおにぎりをガスレンジの上に乗せた魚焼きで焼くのです。

 みーちゃんはみそのおにぎりがそれほど好きではありません。焼けたみそは香ばしくておいしいのですが、中はただの白いごはんだからです。梅干しやおかかの入っている普通のおにぎりの方が好きです。

 でも、ひっこさんのみそのおにぎりは大好きです。前はみそのおにぎりをひっこさんが作ってくれています。ひいばあちゃんがもうできなくなったので、お母さんが代わりに作っているのです。

 ひいばあちゃんはガスが使えません。ですから、七輪でみそのおにぎりを作ります。燃料は豆炭です。七輪の上に、端が少し破れて真っ黒になった網を置き、内輪で、パタ、パタと仰ぎます。

 みーちゃんは食べたことがないのでわかりませんが、お父さんは、ひっこさんは料理が上手ではなかったと言っています。何を作っても、茶色になってしまうのです。ひっこさんは旧家の出で、料理をほとんど知らないまま、お嫁入しています。

 でも、ひっこさんのみそのおにぎりはおいしいのです。ひいばあちゃんの握るおにぎりはとても大きくて、まるでわらじに見えます。おにぎりと言うよりもにぎりめしです。

 けれども、表面だけでなく、中までごはんがパリパリして香ばしいのです。みーちゃんの地域のガスはプロパンです。プロパンの分子式はC3H8ですから、炭素だけでなく、水素も含まれています。燃焼時に酸素と反応して二酸化炭素と水が生じます。それに対し、豆炭はほとんどが炭素ですので、燃焼しても、水が出ません。七輪によるみそのおにぎりがおいしく焼き上がるのです。

 ──やっぱりひっこさんのみそのおにぎりが一番なんだよな~。

 ひっこさんのみそのおにぎりをまた食べたいなと思うみーちゃんなのです。
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