第101話 お父さんを救助するみーちゃん

文字数 958文字

 今日のみーちゃんは、雫石スキー場に、お父さんとお母さんの3人で来ています。

 12時少し前だったので、お母さんがランチにしましょうと提案します。けれども、お父さんはもうひと滑りしてからと言います。そこで、お母さんはレストランの前で待ち、お父さんとみーちゃんの2人で滑ることにします。

 連絡通路のような狭いスロープを2人で滑っていた時のことです。

 みーちゃんが先に進み、お父さんがそれについて行きます。家族で一緒に滑る時、みーちゃんが先頭、お父さんが最後、お母さんが真ん中です。この順番には理由があります。

 一番上手なお父さんが前を滑ると、ついて行くのが大変です。それに、後の人が転んだことに気がつかないで、置いてきぼりにしてしまうかもしれません。また、みーちゃんはお母さんより上手ですから、先に滑ってチームのペースやコースを作る役目があります。

 ところが、ついてきているはずのお父さんの気配がしません。そこで、みーちゃんは後を振り向いてみます。

 ──あれ?お父さんがいない?どこ?

 みーちゃんは素早く止まり、お父さんを待つことにします。けれども、お父さんの姿が見当たりません。

 ──お父さんが消えた?

 すると、お父さんの顔がスロープの溝から現われ出します。みーちゃんは驚いて、スケーティングでお父さんの元に駆けよります。

 「お父さん、どうしたの?大丈夫?転んだ?」

 雪まみれのお父さんは2本のストックを左手に抱えて、こう言います。

 「前の人が下手で遅いから、それを避けたら、溝に落ちてしまった。転んだ時に、右肩をおかしくしたみたいだ。動かない」。

 みーちゃんとお父さんはパトロールの事務所に急行します。パトロール係はお父さんに応急措置をほどこして、こう言います。「骨折はしていないと思います。おそらく脱臼でしょう。とにかくすぐ病院に行って医者に診てもらってください」。

 急いでお母さんが待っている下に降りなければなりません。滑るのは無理なので、ゴンドラに乗ることにします。

 ゴンドラの中ではスキーを脱がなければなりません。けれども、お父さんは腕が動かないのです。

 ──ということは・・・・・・自分のだけじゃなく、お父さんのスキーとストックを持ち運ぶのも、もしかして・・・・・・

 責任感を持たされたみーちゃんなのです。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み