第38話 みーちゃんのお祖父ちゃんは加山雄三の大ファン
文字数 974文字
今日のみーちゃんはお祖父ちゃんと白黒の映画を見ています。
NHKが時々古い映画を放映します。今朝、お祖父ちゃんが『岩手日報』のテレビ欄を見て「懐かしい」と楽しみにしていたので、みーちゃんも一緒に見ることにします。きっとおもしろい映画だと思ったからです。
それは白黒の日本映画です。タイトルはよくわかりませんが、男の人と女の人の恋愛物のように思えます。でも、笑えるところがぜんぜんなくて、ちっともおもしろくありません。
みーちゃんは退屈になってきましたが、お祖父ちゃんは眼を細めて満足そうに見ています。
「ねえ、お祖父ちゃんは、この男の人、かっこよくないね。何かぬめっとしてるよね」。
みーちゃんがそう言うと、お祖父ちゃんは驚いて、みーちゃんの顔を見つめてこう話します。
「何を言ってるんだ~この人はね、上原謙といって往年の二枚目スターなんだよ。大変な人気だった。お祖父ちゃんなんか歳も近いから、もう憧れたもんだ」。
「へー」。
お祖父ちゃんはさらに続けます。
「それにね、この人の息子さんが加山雄三だぞ~」。
「かやまゆーぞーって、若大将の人?」
みーちゃんが知っているのをわかると、お祖父ちゃんは眼を輝かせて語り始めます。
「そうだ、若大将シリーズの主役だよ、よく知っていたね~。加山雄三は一等賞だ。男前なだけじゃないぞ~、文武両道の万能選手だ」。
「そうなの?」
「そうだとも。やはり上原謙の息子だけあって、こう育ちのよさがある。ああいう雰囲気は教えられて身につくものじゃない。品のある二枚目だ。加山雄三は大した二枚目だけど、それだけじゃないぞ。勉強だってできる。慶応大学を出てる。おまけに、理数が得意だ。お祖父ちゃんも理科だったけど、男は理数ができんといかん」。
「……」。
「勉強だけじゃないぞ~運動もできる。夏は海でヨット、冬は雪山でスキー。スキーは国体に出るくらいの腕前だ」。
「……」。
「あと、歌もうまい。あの曲も自分で作曲してる。その上、ギターまで弾く。それに、演技も上手だ。笑顔がいい。それにあのおおらかな態度。友情に熱く、女性をいたわる。あれこそ男の中の男だ。他にも……」。
お祖父ちゃんはすっかり興奮して、映画そっちのけで話し続けます。
この話がいつになったら終わるんだろうとだんだん不安になってきたみーちゃんなのです。
NHKが時々古い映画を放映します。今朝、お祖父ちゃんが『岩手日報』のテレビ欄を見て「懐かしい」と楽しみにしていたので、みーちゃんも一緒に見ることにします。きっとおもしろい映画だと思ったからです。
それは白黒の日本映画です。タイトルはよくわかりませんが、男の人と女の人の恋愛物のように思えます。でも、笑えるところがぜんぜんなくて、ちっともおもしろくありません。
みーちゃんは退屈になってきましたが、お祖父ちゃんは眼を細めて満足そうに見ています。
「ねえ、お祖父ちゃんは、この男の人、かっこよくないね。何かぬめっとしてるよね」。
みーちゃんがそう言うと、お祖父ちゃんは驚いて、みーちゃんの顔を見つめてこう話します。
「何を言ってるんだ~この人はね、上原謙といって往年の二枚目スターなんだよ。大変な人気だった。お祖父ちゃんなんか歳も近いから、もう憧れたもんだ」。
「へー」。
お祖父ちゃんはさらに続けます。
「それにね、この人の息子さんが加山雄三だぞ~」。
「かやまゆーぞーって、若大将の人?」
みーちゃんが知っているのをわかると、お祖父ちゃんは眼を輝かせて語り始めます。
「そうだ、若大将シリーズの主役だよ、よく知っていたね~。加山雄三は一等賞だ。男前なだけじゃないぞ~、文武両道の万能選手だ」。
「そうなの?」
「そうだとも。やはり上原謙の息子だけあって、こう育ちのよさがある。ああいう雰囲気は教えられて身につくものじゃない。品のある二枚目だ。加山雄三は大した二枚目だけど、それだけじゃないぞ。勉強だってできる。慶応大学を出てる。おまけに、理数が得意だ。お祖父ちゃんも理科だったけど、男は理数ができんといかん」。
「……」。
「勉強だけじゃないぞ~運動もできる。夏は海でヨット、冬は雪山でスキー。スキーは国体に出るくらいの腕前だ」。
「……」。
「あと、歌もうまい。あの曲も自分で作曲してる。その上、ギターまで弾く。それに、演技も上手だ。笑顔がいい。それにあのおおらかな態度。友情に熱く、女性をいたわる。あれこそ男の中の男だ。他にも……」。
お祖父ちゃんはすっかり興奮して、映画そっちのけで話し続けます。
この話がいつになったら終わるんだろうとだんだん不安になってきたみーちゃんなのです。