第80話 お祖父ちゃんの卵の溶き方が気になるみーちゃん

文字数 872文字

 今日のみーちゃんは朝食に生卵を食べます。

 みーちゃんの打ちは4世代8人家族です。ただ、今は大兄ちゃんのきーちゃんが東京に住んでいるので、7人家族です。

 7人家族は何でもたくさん必要ですから、大変です。今日みたいに卵を朝食に出すとします。10個入りの卵のパックに、3個しか残りません。次の日も卵を食べるなら、また買ってこなければいけないのです。

 生卵を食べる時、みーちゃんの家族は、黄身と白身の混ぜ方でわかれます。

 お父さんは卵をお箸で勢いよくかき混ぜます。それに対して、お母さんはお箸で白身を切るようにして、ゆっくり黄身と混ぜます。

 お祖母ちゃんはお父さん、なーちゃんはお母さんと同じです。みーちゃんはどちらかだけではうまく混ぜられないので、二つあわせて使います。ひいばあちゃんは自分ではできませんから、誰かが代わりに黄身と白身を混ぜます。

 ところが、お祖父ちゃんの溶き方はどれでもないのです。

 お箸を一本左手に持ち、それを45度の角度で黄身に立てます。右手で握ったもう一本のお箸をそれに沿って黄身も白身もかき上げるのです。ドラム式の洗濯機のような回転で、黄身と白身が混ざるのです。

 みーちゃんはこの溶き方をお祖父ちゃん以外で見たことがありません。真似したこともありますが、お祖父ちゃんのようにうまくできないので、今は使っていません。

 ──どこで覚えたんだろう?

 お祖父ちゃんに尋ねても、「昔からこうやってる」と答えるだけです。そこで、お父さんに聞いたら、「たぶん軍隊じゃないかな」と言っています。お祖父ちゃんは職業軍人で、軍隊で15年間もすごしています。つまり、日本の第二次世界大戦の最初から最後までです。

 でも、軍隊にいた人は他にもいます。三浦の大工さんは海軍の予科練にいましたが、普通に卵を溶いています。

 ──お祖父ちゃんは陸軍だから違うのかな?

 生卵が朝食に出る時は、慣れてるはずなのですが、お祖父ちゃんの二刀流がいつも気になります。

 ──いつ見ても、やっぱり不思議なんだなあ~。

 卵を溶くようにはこの謎が解けないみーちゃんなのです。
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