第35話 みーちゃんは『あなたの知らない世界』が大嫌い

文字数 688文字

 今日のみーちゃんはぜんぜん寝つけません。

 夏休みになると、みーちゃんには嫌なことがあります。お昼にテレビで『お昼のワイドショー』が放送されていて、そこで『あなたの知らない世界』が放映されます。でも、みーちゃんはこわい話が大嫌いです。

 お友だちのとしちゃんなんか、遊んでいるときに、「あんなのうそだよね~」とこの番組の話を始めます。みーちゃんにはその気持ちがまったくわかりません。

 みーちゃんはなるべくこの番組を見ないようにしています。でも、ときどき見ちゃうこともあるのです。

 みーちゃんにはお兄ちゃんが2人います。下のお兄ちゃんは高校生で、みーちゃんは「なーちゃん」と呼んでいます。

 なーちゃんは『あなたの知らない世界』が大好きで、「気分を出すため」ってカーテンを締めきり、部屋をまっくらにして、タオルケットを頭からすっぽりかぶってひとりで見ています。

 ほんとうは、今日もみーちゃんは『あなたの知らない世界』を見たくありません。でも、扇風機が回っていて、茶の間は涼しいので、今日みたいな暑い日はどうしても部屋から出たくないのです。さすがのなーちゃんもカーテンを閉めません。

 夜になって、みーちゃんはベッドに横になります。すると、天井の角に黒いしみのようなものを見つけてしまいます。

 ──あれ、昨日はあんな黒いしみなんかなかったよね?なんだろ?ああ、わかった!あそこからヘビが出てくるんだ!どうしよう、どうしよう、どうしよう、どうしよう!お昼に見たたたりのヘビがにゅるにゅるって出てくるんだ!こわいよ~。

 目に涙を浮かべながら、「稲川淳二のバカ」とつぶやくみーちゃんなのです。
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