第81話 馬跳びに挑戦するみーちゃん

文字数 880文字

 今日のみーちゃんは馬跳びに挑戦します。

 クラスのみんなが体育館で整列しています。岩田先生がその前に立ち、「今日の授業では、まず、馬跳びをします。背の高い順から馬になって、背の低い順から跳んでください。わかりましたか?」と言います。馬跳びは人を馬に見立て、跳び箱の要領で跳び越える運動です。

 進行方向に対して横向きに立ち、肩幅より広く両足を広げます。上体を倒し、右手で右足首、左手で左足首をそれぞれつかみます。これで馬の完成です。

 この馬の腰に両手を置いて跳び箱の要領で跳び越えます。ただ、通常、馬は一頭ではなく、複数です。馬の列を跳び終わると、その人も馬になります。また、跳び越えられることが終わった馬は人に変わります。前の人と同じように、馬の列を飛び越えていくのです。

 この流れを繰り返すのが馬跳びです。児童の体力を配慮して、馬が膝を曲げて立つこともあります。

 みーちゃんの体育の成績はたいてい2です。運動が得意ではありません。

 ──は~、できるかなあ~。

 みーちゃんはクラスで女子の中で前から6番目です。男子が混ざると14番目です。40人学級ですから、真ん中より少し前の方です。

 岩田先生が跳ぶ番の人の脇に立ち、「はい、跳んで」と声をかけています。

 みーちゃんの番です。

 ──そうだ!ちょっと助走をしよう。

 自信がないみーちゃんは1歩後ろに下がってから駆け出し、勢いよく馬に両手をつきます。

 ──あ!?

 その瞬間、手がすべり、勢いあまったみーちゃんは顔から床に落ちてしまいます。馬の幸一君も「痛―!」とうめき声をあげて一緒に床に摂れます。

 岩田先生がみーちゃんたちに駆けより、両腕を胸の前で組んでこう言います。

 「普通、こういう時って、手を床について、顔がぶつからないようにするもんなんだけどなあ~、ここまで運動神経が鈍いのはすごいなあ~、いやあ、たいしたもんだ~」。

 ──あの~、普通、こういう時って、先生だったら、「大丈夫か?」とか「けがはないか?」とか聞くもんじゃないのかな~。

 先生なんだから感心してないで心配して欲しいと思うみーちゃんなのです。
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