第1話 急襲

文字数 4,345文字

『日が暮れたら外を出歩いてはいけないよ。…蒼獣(そうじゅう)に見つかったら(さら)われてしまうからね。』


 ラ・クリマス大陸で育つ子供は、大人たちから大抵(たいてい)このような決まり文句で(しつけ)をされていた。

 その青白い(もや)のような存在は、狼のように地を駆けるとも鷹のように(そら)を舞うとも語り継がれ、(いま)だに厳密な外見の定義がなされていなかった。
 宵闇(よいやみ)や見通しの悪い視界の中で音もなく現れて襲い掛かり、狙われたが最後骨も残さず丸呑みにされてしまうと伝えられているからである。

 蒼獣(そうじゅう)とは、現代を生きる大陸の民にとっては普遍的で身近な怪奇現象である。だがその正体が、伝承される悪魔が生み出す厄災の1つであることは(ほとん)ど知られていなかった。
 
 人間にとっては根源がどうあれ、畏怖(いふ)すべき存在であること以上に重要な事実は必要ないからである。



 曇天に隠れて朝日が(のぼ)る頃、大陸北東部カリタス州から西部グラティア州に向けて蒸気機関車が出立した。

 昨日『強欲の悪魔』による厄災の被害を受けたグリセーオの街では大陸平和維持軍による救援活動が夜通し展開されており、その被災地から背を向けるように走り出す車両の乗客は(まば)らだった。
 どちらかといえば首都が置かれるグラティア州からグリセーオへ、支援部隊を追加で送り込むための(はこ)の移動と捉えることが妥当であるように見えた。


 その機関車の最後尾の客室車両では大陸議会事務官に(ふん)したカリムとサキナが、後方辺りの2人掛けの対面座席に向かい合わせで座り、互いに沈黙していた。

 進行方向を背にして通路側に座るサキナは腕を組みながら静かに目を閉じており、カリムは窓辺で肘を付きながら右手側に広がるオディアム渓谷の樹海、その先のアヴスティナ連峰をぼんやりと眺めていた。

 大陸中央部プディシティア州に広がる丘陵(きゅうりょう)地帯の外周をなぞるようにこの路線は敷かれており、左手側は崖を見上げる形となるため、自然と眺望(ちょうぼう)が好ましい方へと寄り掛かっていた。


 昨日グリセーオで起きた厄災をなんとか収束させ、様々な感情が渦巻き頭の割れそうな思いをしたカリムだったが、今は大分(だいぶ)気持ちが落ち着いており、『強欲の悪魔』を封印した瓶を首都ヴィルトスの『本部』に持ち帰る帰路に()いていた。

 青年の(かばん)に収められた封瓶は中身が固く凍り付いていただが、不思議と結露することはなく、萌黄(もえぎ)色の粒子の(かたまり)(なお)(ほの)かな光を放ち続けていた。

 その淡い(きら)めきは弱々しい心臓の鼓動を彷彿(ほうふつ)とさせ、初めて見る現象でないにも関わらず、特命を負う2人は気まずそうに視線を()らせていたのであった。



 カリムがぼんやりと(なが)めていたその朝霧が漂う風景に、不意に一筋の青白い閃光(せんこう)(よぎ)った。

 その一瞬の出来事にカリムは思わず眉を(ひそ)め、少し身を起こして窓に映る景色に目を凝らした。だが限られた視界から得られる情報は乏しく、吐息で硝子(がらす)の曇る面積が広がっていくだけだった。


 そのとき、車両の前方辺りから複数の男の悲鳴と共に騒がしい物音が飛んできた。

 
 サキナが咄嗟(とっさ)に座席越しにその方向を振り返ったが、腰を上げていたカリムは不穏な騒ぎの根源を瞬時に視認し、布に(くる)んでいた杖を即座に引っ張り出して通路へと踏み出した。

 そのカリムの元へ向かって、青白く輝く狼のような動物が(すで)に目と鼻の先まで迫ってきていた。


 それでもカリムは(ひる)むことなく、杖の先端の黒い鉱石部分を飛び掛かって来る青白い獣の喉元付近に向けて突き出すと、獣はその鉱石が触れた箇所から青白い光の粒子となって崩れ、弾けるように霧散した。

 『強欲の悪魔』が生み出す青白い(つる)を破壊したときと酷似(こくじ)した現象であった。


 だが息付く暇なく1匹、また1匹と通路奥の扉の隙間から同じような青白い獣が()き出し、獲物を求めて車両内を飛び跳ねていた。


蒼獣(そうじゅう)…これが『貪食(どんしょく)の悪魔』か!? …どうして機関車に!?」


 カリムが慎重に蒼獣(そうじゅう)の動きを見極め、的確に杖の一撃を喰らわせ続けるも、機関車という移動する人工物の中で只管(ひたすら)()き続ける新たな厄災に戸惑いを隠せていなかった。

 前方には他にも数名の乗客がいたはずだったが、成す(すべ)なく蒼獣(そうじゅう)に呑まれてしまったようで、本物の狼を思わせる(うな)り声と列車が走る音以外は最早(もはや)何も聞こえてこなかった。

 その様子を察したサキナがカリムを援護しようと拳銃を取り出し、通路奥の蒼獣(そうじゅう)に向かって数発発砲(はっぽう)した。
 だが実体が(もや)のように曖昧(あいまい)な獣の身体は銃弾に貫かれるどころか()り抜けてしまうようで、まったく通用していなかった。


「やはり効果なしか……!?」


 舌打ち混じりに(つぶや)くサキナの台詞(せりふ)突如(とつじょ)息を呑むように途切(とぎ)れ、その異変を察したカリムが()ぐさま杖を座席側に()ぎ払った。

 背後の扉からも()き出していた別の蒼獣(そうじゅう)が、対抗手段のないサキナに向かって飛び掛かろうとしていたところを、(すんで)の所で杖の先端の鉱石に(えぐ)られて消滅した。

 座席に(もた)れかかるように身を退()いていたサキナは流石(さすが)に目を丸くしていたが、(ただ)ちに表情を引き締め直して立ち上がろうとした。


「…悪い、油断した。」


 サキナは不甲斐(ふがい)なさを(あら)わにしながらもカリムに一言謝意を述べた。一方のカリムは(なお)も襲い来る蒼獣(そうじゅう)の対処で余裕がなく、早口でサキナに行動を促した。


「このままじゃ(らち)が明かない…君もここに(とど)まっていては危険だ! 窓からでも脱出して、なんとかして『貪食(どんしょく)の悪魔』の発生源を探してくれ!」


 その指示に顔を(しか)めて再び舌打ちをしたサキナだったが、躊躇(ためら)うことなく窓を上げて身を乗り出すと、(さん)()り上げ(しな)やかな身の(こな)しで車両の屋根へと着地した。

 だが次の一歩を踏み出そうとしたその瞬間、上空から巨大な青白い鳥獣が滑空(かっくう)してサキナに襲い掛かった。


 その鉤爪(かぎづめ)自体が人間を容易(たやす)く捕らえられるほど大きく、サキナは咄嗟(とっさ)に屋根にへばり付くように身を(かが)めて(かわ)した。

 しかし見覚えのあるその鳥獣を目前に、サキナの内心で(ふた)をしていた記憶と恐怖が(よみがえ)り、唐突(とうとつ)に肺が締め付けられるような気がして激しく(むせ)た。

 冷ややかに流れる外気にも()てられて全身の血の気が引いていくような思いだったが、それでもサキナは歯を食い縛って身を(ひるがえ)し、後方へ飛翔していった青白い鳥獣を追って拳銃を向けた。


 機関車に追随するように羽搏(はばた)いていた鳥獣は、(しば)しサキナの様子を観察しているようだったが、その手が(ひど)く震えて引き金を引くことも(まま)ならないようだと判断すると、ゆっくりとサキナが乗る車体の屋根に接近した。

 そして巨大な鳥獣の形を構成する青白い光が一点に収束すると、人の形となってサキナからやや離れた前方に降り立った。


「…その面影(おもかげ)、やはりサキナであろう? 久しいのう、7年ぶりくらいか。」


 その独特な口調を発していたのは、(よわい)12,3程に見える小柄な少女であった。

 少女は瑠璃(るり)色の線が混じった銀髪を枝を(ねじ)ったような冠で留め、動物の毛皮を加工したような厚手の上着を羽織(はお)っていた。
 だが頭部では狼のような耳が(なび)き、()き出しの腕と脚も獣のような銀色の体毛が生え、背後では瑠璃(るり)色混じりの長い白銀の尾が逆立っていた。

 そして(うす)ら笑いを浮かべるその瞳は、深い碧色(へきしょく)に満たされ輝いていた。


「……ピナスなの…!?」


 サキナは血走った鈍色(にびいろ)の瞳で7年前と(ほとんど)ど風貌の変わらない少女を捉えながら、(かす)れたような声音で応えた。
 予想だにしていない事態の連続に動悸(どうき)が激しさを増し、銃口が大きく揺れ動いていた。


「こうして月日が経つと良く(わか)るであろう、(わし)らは人間と比べ(よわい)を重ねる間隔がずっと緩やかなのだ。…(いな)、貴様が驚いとるのはこの蒼獣(そうじゅう)(すなわ)ち『貪食(どんしょく)の悪魔』を何故(なにゆえ)(わし)が顕現させておるか、ということに相違(そうい)ないのであろう?」


 ピナスと呼ばれた少女は、その容姿と声音に合わない(あや)しげな笑みを作ると一歩前に踏み出し、(おもむろ)に両手を広げながらサキナに語り続けた。


「ほれ、さっさとその物騒な鉛玉(なまりだま)を発射するがよい。この()むべき厄災の力は貴様の(かたき)なのであろう? 貴様の故郷を滅ぼし、妹のリオナを失う端緒(たんしょ)となった(わし)は貴様に復讐(ふくしゅう)されて当然なのだ。」

「今更(ゆる)しなど()うつもりもない。(わし)は実体の(ともな)わぬ蒼獣(そうじゅう)とは違う(ゆえ)、その鉛玉(なまりだま)臓腑(ぞうふ)()ち抜かれれば人間と同じように容易(たやす)く死ぬのだ。貴様にとって願ってもない好機ではないか。」


 ()()ない調子の煽動(せんどう)が徐々に(せま)り来るなか、サキナは体勢を低く維持したまま息を殺すようにして必死に怒りを(こら)えていた。

 カリムが『強欲の悪魔』に因縁(いんねん)があったように、サキナもまた『貪食(どんしょく)の悪魔』へとりわけ強い復讐(ふくしゅう)心を(いだ)いていた。

 だが『封印』を命じられている以上は致命傷を与えるわけにはいかず、封印に用いる杖を握るカリムを呼び寄せる必要があった。
 とはいえ足止めの(わず)かな時間を稼がなければその連携も叶わないだろうと思い至り、ゆっくりと接近してくるピナスの足元を狙って今度こそ引き金を引いた。


 だが人間よりも遥かに視力の良いピナスにとってはその瞬間を視覚的に捉えることも、足元へ放たれる銃弾を回避することも造作(ぞうさ)もなかった。

 発砲(はっぽう)の瞬間にうねるように青白い狼の姿へと転身すると、的を絞らせないよう左右へ飛び跳ねながら(たちま)ち距離を詰め、振り上げる前脚でサキナの両手を強く(はた)いた。

 その突き飛ばされるような衝撃に体勢を大きく崩されたサキナは、機関車の屋根から転落しないようその身を抑えるため、拳銃を手放さざるを得なかった。拳銃は機関車の駆ける音に呆気(あっけ)なく吸い込まれていった。


 他方でサキナの両手はピナスの鋭い爪に裂かれることなく軽く(しび)れているだけであり、その揶揄(からか)うような仕打ちに唇を()みながら、サキナは透かさず腰元から短剣を引き抜いて反撃を試みようとした。

 だがピナスはまた少し距離をとって少女の姿に戻り、嘲笑(あざわら)うように(たたず)んでいた。


「まったく見縊(みくび)られたものよ…(いな)、貴様の覚悟はその程度だったということか。」


「…黙れ。『獣人(じゅうじん)』が知ったような口を()くな。」


 サキナが小さく吐き捨てる蔑称(べっしょう)を敏感な獣の耳が聞き逃さず、ピナスは鼻で笑って返した。


 そのとき2人の間に割って入るように、カリムが車体の窓から屋根へと飛び移ってきた。
 通路に()いていた蒼獣(そうじゅう)掃討(そうとう)し終えた矢先、天井から響く跳弾(ちょうだん)の音を不審に思ってカリムは即座に移動してきた。

 だが噂や伝承でしか存在を知らなかった『獣人(じゅうじん)』とサキナがそこで対峙(たいじ)しているとは露程(つゆほど)も思わず、緊迫(きんぱく)した状況を呑み込むまでに(いささ)か時間を要した。

 それでも『獣人(じゅうじん)』の少女の瞳が碧色(へきしょく)の輝きを放っていたことで事態を把握すると、カリムは静かに杖を構えながらサキナの前へと歩み出た。


 他方でピナスはその先端に着装されている黒い鉱石を視認すると、そこから放たれる胸を刺すような敵意にほんの一瞬動揺しつつも、(むし)ろその刺激を歓迎するかのような不敵な笑みを浮かべた。
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登場人物紹介

【ドール】齢19の修道女。

▶ラ・クリマス大陸北西部にあるディレクト州の歴史ある街ディレクタティオで暮らしており、グレーダン教の総本山であるディレクタティオ大聖堂に連なる修道院に属している。

▶生まれつきの白髪が忌み嫌われ、赤子の頃に大聖堂に託された孤児だった。

▶対人関係が希薄なため幼い頃から本の虫であり、好奇心が旺盛。

▶その性格が災いしてか、あることをきっかけに異端者、廻者として糾弾されることになり、その理不尽な仕打ちを機にラ・クリマスの悪魔を顕現させてしまう。

【死神】ドールの命を狙い対峙する謎めいた人物。

▶グレーダン教徒に似た紫紺のローブを纏い、真っ白で無機質な仮面を着けている。

▶グレーダン教に代々継承されてきた司教杖に似た、武器と言い難い杖を構える。

▶その先端に着装された黒い鉱石からは、悪魔を脅かす不思議な力が醸し出されている。

▶「死神」という名称は、ドールが便宜上付与したものにすぎない。

【ネリネ・エクレット】齢16の貴族令嬢。

▶大陸南東部ヒュミリア州、2大交易都市の1つであるメンシスを治める領主ホリー・エクレットの1人娘。

▶穏やかで物腰柔らかな性格だが、箱入り故に世間知らずである。艶のある金髪の持ち主。

▶だが突如メンシスを襲った猛烈な竜巻で被災し、親も家も失う。

▶街の再建を大陸軍に任せて親戚の元へ身を寄せることになるが、その言動はまるで別人になったようであった。

【カリム】大陸議会の事務官を名乗る青年。

▶年齢はネリネと同じくらいと思われ、左目を前髪で隠しており陰気そうな印象である。

▶身に付けている赤を基調としたシャツと議会所属を表すバッジを留めた黒地のチョッキは所定の制服のようなもの。

▶馬車に乗りメンシスを去るネリネに随行し、竜巻被害について聴取しようとする。

▶大陸北東部の孤児院の出身で、過去に何か苦い経験をしているようである。

【リリアン・ヴァニタス】ヴァニタス海賊団の若き首領。

▶巻き毛の金髪が特徴で、体術では随一の戦闘力を持つ。

▶急逝した父の遺言により、齢16にして首領の座を継承しているが、経験が乏しく未熟であるため、父の右腕であった幹部ローレンの助力を得ながら海賊団を存続させている。

▶海賊団はアルケン商会という善良な団体を騙る裏で、密輸品などの取引を働いていた。

【ロキシー・アルクリス】齢17の女使用人。

▶大陸中央部プディシティア州にあるセントラム農業盆地の領主クレオーメ・フォンス伯爵の別邸に仕える。

▶物心ついた頃から母レピアと共に別邸に棲み込みで従事しており、あまり外界との接触がない。

▶長い藍色の髪をしており、やや陰鬱な印象とは裏腹に齢離れした恵体の持ち主。

▶使用人長でもあるレピアとともに好からぬ秘密を抱えており、大陸軍側からの詮索を敬遠している。

【ルーシー・ドランジア】大陸平和維持軍 国土開発支援部隊の隊長。

▶すらりとした上背に長い黒髪を湛え、銀縁の眼鏡の奥に黄金色の瞳を覗かせる齢28の女性。

▶メンシス港の機能停止を受け、セントラムの生産品の出荷計画などを見直すべく部隊を牽引しフォンス邸別邸を訪れるが、密かに別の目的も念頭にあるらしくロキシーに探りを入れる。

▶飄々として掴みどころのない性格。身内も大陸議会の関係者であるらしい。

【ステラ・アヴァリー】齢24の孤児院管理人。

▶大陸北東部カリタス州の新興都市グリセーオで大陸軍が設立し運営を委託するジェルメナ孤児院に従事している。

▶領主キーウィ―・アヴァリーの1人娘であり、2年前に母から管理人の立場を継承している。

▶赤みがかった茶髪を三つ編みで束ねている。世話焼きで責任感や正義感が強い。

▶過去に厄災を経験して以来、1人でも多くの親なき子の命を護りたいと身を粉にして働いているが、結果としてこれ以上収容できないほどの孤児を拾ってしまい、食糧などの遣り繰りに頭を悩ませている。

【リオ】かつてジェルメナ孤児院で暮らしていた少女。

▶物語開始時点から7年前、グリセーオ西端を流れる川に独り漂着していたところを救助されたが、虚弱体質に陥っていたためジェルメナ孤児院に引き取られ静養することになる。

▶救助以前の記憶をほとんど引き出すことが叶わず、当時は齢7,8程度と推測されていた。

▶2年後に『強欲の悪魔』を顕現させてしまい、命を落としている。栗毛と鈍色の瞳が特徴。

【ピナス・ベル】伝説の瑠璃銀狼の血を引くラピス・ルプスの民の少女。

▶外見は齢12,3ほどだが、人間と比べて齢を重ねる間隔が緩やかで、既に30年生きている。

▶大陸北部アヴスティナ連峰の中腹にあるクラウザという集落で同胞と共に密かに暮らしている。

▶とある目的を果たすため『貪食の悪魔』を宿して鳥の姿となり、大陸西部へ向かっている。

▶7年前のとある出来事で人間側との軋轢を経験し、その際に『貪食の悪魔』を宿した母を失っているほか、サキナとも面識をもっている。

【オドラ―・ベル】ピナスの祖父であり、クラウザの集落を束ねる長老。

▶齢200を超え、ラピス・ルプスの民の特徴である銀色の毛並みは灰色にくすみ、全身毛むくじゃらである。

▶大陸の人間が内戦時代を経て現代に至るまでの歴史だけでなく、千年前から続く厄災についても口伝により知識を蓄えている。

▶人間と対立する気はないが、緩やかに数を減らしてく一族の行く末を憂い、『貪食の悪魔』を同胞から生み出さぬためにも、人間の手を借りてでも種を存続させるべきか思案している。

【クランメ・リヴィア】齢28の博物館職員兼調査研究員

▶大陸西部グラティア州、首都ヴィルトス近郊のアーレア国立自然科学博物館に従事している。

▶やや小柄で、分厚い眼鏡と象牙色の髪が特徴。大陸南西部ミーティス州の農村出身で、独特な訛りで喋る。

▶ルーシーとはグラティア学術院で同期生の関係だが、当時はあまり好ましい印象を抱いていなかった。

▶ラ・クリマスの悪魔の『封印』に関わるとある仕事を引き受けている。

【イリア・ピオニー】齢26にして大陸平和維持軍 国土開発支援部隊の隊長を務める軍人。

▶桃色がかった金髪と強い正義感の持ち主。国の平和のため心身を尽くそうとする厳格な性格。

▶現代に至る国内軍事を統括し続けた由緒あるピオニー家の娘。父ジオラスは元帥の地位にあり、2人の兄も同じく軍人である。

▶十代のころに出会ったルーシーの理想に感銘を受け、励まされたことでその背中を追い続けている。

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