人間にも動物にも魂はない?(ラ・メトリの人間機械論)
文字数 3,997文字
(1709年 - 1751年)
医師、哲学者で、啓蒙主義におけるフランスの最も早い唯物論者の一人であった。
著書『機械としての人間』(L'homme machine)が最もよく知られている。
意識や思考を「魂」と言い換えれば、分かりやすいわ。
「動物には魂がない」と考える立場は、17世紀に生きていたデカルトにとっては、アリストテレス以来の哲学的常識だったでしょうけど、現代の動物の権利論者が聞いたら怒りそうよね。
ラ・メトリの著作はスキャンダルを引き起こし、医師としての地位を失い、議会で非難され、公に焚書された。
ヴォルテールやディドロといった啓蒙主義の思想家たちをも愕然とさせ、比較的寛容だったオランダさえも激怒させた。
そのため、ラ・メトリはフランスを脱出し、ベルリンへ移住する。プロイセンのフリードリヒ大王はラ・メトリを歓迎し、医師として開業させるだけでなく、宮廷読書家に任命した。
京極殿・法成寺など見るこそ、志留まり、事変じにけるさまはあはれなれ。御堂殿の作り磨かせ給ひて、庄園多く寄せられ、我が御族のみ、御門の御後見、世の固めにて、行末までとおぼしおきし時、いかならん世にも、かばかりあせ果てんとはおぼしてんや。大門、金堂など近くまでありしかど、正和の比、南門は焼けぬ。金堂は、その後、倒れ伏したるまゝにて、とり立つるわざもなし。無量寿院ばかりぞ、その形とて残りたる。丈六の仏九体、いと尊くて並びおはします。行成大納言の額、兼行が書ける扉、なほ鮮かに見ゆるぞあはれなる。法華なども、未だ侍るめり。これもまた、いつまでかあらん。かばかりの名残だになき所々は、おのづから、あやしき礎ばかり残るもあれど、さだかに知れる人もなし。
されば、万に、見ざらん世までを思ひ掟てんこそ、はかなかるべけれ。
(徒然草 第二十五段より)
初出:2022/3/26(日記ブログ「有機交流電燈」より)
2023/4/21 加筆してチャット版にリライトしました。