第16話 ビールが飲みたくなる? 音楽

文字数 2,647文字

WBC日本優勝、おめでとー! 乾杯ー!!
準決勝の9回ウラ、ツーベースヒットを打った大谷君が塁上で吠えたのが格好良かったわね!
うう、あの場面で村上が打ってくれて良かった……!

これまで打てなくてさんざんバッシングされてて、悔しかったんだから。

もう、すっかりニワカ野球ファンになっちゃって!

たしかに準決勝のサヨナラ勝ちは、マンガよりマンガらしい試合だったわね。

ニワカじゃないですー。

これでも毎週、NHKの野球番組『球辞苑』を観てるんだからね!

NHKと言えば、

『レジェンドの目撃者』の「遅球王 星野伸之」回は、すっごく感動だったわね。

野球中継を観ていると、ビールのCMが多いじゃない?

ビールのCMに使われている楽曲って、なんか耳に残るわよね。

Gipsy Kings "Volare" (1999年)


ジプシー・キングスは、1978年に南フランスで結成された、カタルーニャ地方のルンバ、フラメンコ、サルサ、ポップスを演奏するバンド。

主にカタルーニャ語で歌うが、スペイン語と南フランスの方言が混じることも。

バンドのメンバーはフランス生まれだが、両親はほとんどが1930年代のスペイン内戦でスペインから逃れた「ジターノ」(スペイン・ロマ)であった。

ヴォーラーレ!!

あー、この曲、いかにもビールの曲って感じよね!!

ジプシー・キングスが1999年にリリースした「Volare」はね、実はカバー曲なの。

え、カバー曲だったの!?
オリジナルは、ドメニコ・モドゥーニョが1958年にリリースした「Nel blu, dipinto di blu」(青く塗られた青の中で)という歌なのよ。
”Nel blu, dipinto di blu"

作曲:Domenico Modugno

歌詞:Franco Migliacci, Domenico Modugno


ドメニコ・モドゥーニョ(1928年 - 1994年)はイタリアの歌手で、後年はイタリア国会議員も務めた。

1958年の世界的ヒット曲「Nel blu dipinto di blu」で知られ、この曲はグラミー賞史上初の年間最優秀レコード賞と年間最優秀楽曲賞の両方を受賞した。その年のビルボードの年間ナンバーワン・シングルにも選ばれ、全世界で1800万枚を売り上げた。

ええ、これがオリジナル曲なの!?

なんと言うか、ムード歌謡……?

ぜんぜんビールの曲っぽくないね。

ドメニコ・モドゥーニョが作曲したこの曲は、その後、いくつもの言語に翻訳されて、さまざまな演奏家にカバーされたの。


世界的にはビールの曲と言うより、サッカーの応援歌として使われているわね!

WBCの中継を観ていて、キリン・スプリングバレーのCMが何回も流れたでしょ?

よく知らないけど、あの曲、良いよね!!

ああ、吉永小百合さんのやつね。

あの曲は、ビリー・ジョエルが1973年にリリースした「ピアノ・マン」よ。

Billy Joel "Piano Man" (1973年)


"Piano Man"は、アメリカのシンガーソングライター、ビリー・ジョエルが作詞・作曲した曲。

この曲は、バーでピアノを弾いていたジョエルの視点から、そこでの経験や出会った人々を回想して歌われている。ジョエルが1972年から1973年にかけて、ロサンゼルスでラウンジ・ミュージシャンとして活動していた時の実体験を基にしたものである。

2015年、米国議会図書館は"Piano Man"を「文化的、歴史的、芸術的意義」があるとして、ナショナル・レコーディング・レジストリに保存することを選定した。

このハーモニカ! これこれ、この曲!!


あーでも、歌っているひと、CMと違くない?

CM曲の方は中高生の合唱団が歌ってそう。声の感じが若いし。

そうね!

CMで使われている録音とは違うけど、合唱と言えば、アメリカの人気ドラマ『glee』(グリー)でカバーされたバージョンがおすすめよ。
これ、ホントに高校の合唱部(グリークラブ)が歌ってるの?

上手すぎじゃない……!?

まあ、そういう設定のドラマだからね。

このGleeキャストによるカバーの方が、オリジナル曲よりも好きだな。

Sing us a song you're the piano man

Sing us a song tonight

Well we're all in the mood for a melody

And you've got us feeling alright

歌ってくれ、ピアノ弾き

歌ってくれ、今夜

おれたちはみんな、メロディーを求めてるんだ

おれたちをいい気分にさせてくれよ

He says,"Bill, I believe this is killing me."

As a smile ran away from his face

"Well, I'm sure that I could be a movie star

If I could get out of this place."


Now Paul is a real estate novelist

Who never had time for a wife

And he's talking with Davy, who's still in the Navy

And probably will be for life

「不動産屋で働きながら小説を書いていて、結婚する余裕もないポール」って、なんか切ないわ。


「映画スター」だったり、「小説家」だったり、このバーで飲んでいる男たちは夢を捨てきれないでいるのね。

ジョエルによればね、この曲で描かれた登場人物はすべて実在のモデルがいたの。

小説家を夢見る不動産業者「ポール」は、毎晩バーに座って、次の偉大なアメリカ小説になると信じて執筆していたそうよ。

せ、切ないよ、ポール……!

誰もが人生の勝ち組になれるわけじゃないし、

努力したからって、必ずしも報われるわけじゃないよね。

WBCの決勝戦は、会場がすごい「USA!!」コールだったじゃない。

試合には勝ち負けが必ずあるものだからね、アメリカを応援していた観衆は、結果にものすごくがっかりしたと思うの。

思い通りになることばかりじゃないから、この曲がぐっとくるのかもしれないわね!

ラーララーディディダー、

明るい曲調だけど、人生の悲哀を感じさせてくれる歌よね……。
まあ、いまイントロを聴くと、「キリン・スプリングバレー」ってナレーションが脳内で流れるけどね!
2023/03/26
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登場人物紹介

南津海(なつみ)ちゃん


社会科研究部の部員。好奇心旺盛。

寿太郎(じゅたろう)くん


社会科研究部の部員。南津海ちゃんとは幼なじみ。

せとか先生


社会科研究部の顧問。専門は世界史。

みはや先生


専門は音楽。せとか先生と仲良し。

考えるカエル


『バイブル・スタディ・コーヒー』から出張

本を読むウサギ


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