第23話 お店ができますよ

文字数 1,140文字

 気合が入ったところでアイディアがまとまるというものでもないのだが、ひとまず駅前はある程度のお約束があるので手を動かしながら考えることができる。第19話でいうところの①のうち、右側である。駅舎は数段の階段を備えて目の前に鎮座している。牧場前ロータリーにバス停を作っているのだから、当然この駅とはバスで結ばれているというストーリーになる。バス停のストラクチャーは購入済で、これには細長い停留所案内板の他に、簡易型の屋根や歩道も付いている。いや、大きさ的にはそっちがメインだな。歩道もプラスチックの板な訳だが、現実的にはこんなに平坦なものが存在するはずがない。歩道と言えども凸凹が多少あるのがリアル。だがそれはもう、仕方が無い。これは模型なのだ。

 そして駅舎との位置関係を試行錯誤する。ちょうどいい角度を感覚的に決め、空いたスペースには植物が生えているようにフォーリッジや花を置くことにする。アパートの隅に一台置いた自転車を、駅前には三台ほど並べておく。何だかいい感じだ。接着は慌てず、まずは画用紙で舗装道路を作る。センターラインなどを引いて乾かす。ちょっとボードからはみ出すサイズにしておく方が、広がりがあっていい。多少ボードが見えてしまっても、そこは植物などで埋めてしまおう。

 牧場前から前方に延び踏切を渡る舗装道路と、この道路が交差する。ほぼ直角の交差点が出来上がる。その駅側線路沿いについては、空き地、とするのも惜しいくらいの好物件に思えた。そうだ、ここには一軒商店を置く必要があるな。市販のコンビニエンスストアがなんとか入り込めそうな広さであることを確認し、模型店Pで購入。少し心配だったサイズについては問題なかったが、付属のシールがスリーエフしかないのが残念だ。この辺りでは一切見かけないが、昔は世話になったので許すことにした。

 コンビニエンスストアのストラクチャーは、建物がやはり平らなプラ板の上に置かれる仕様になっている。外す方がリアリティが増すのだけど、駐車場や歩道が作り込まれているので捨てがたい。藁葺屋根の地主宅もプラ板の土台を付けたままにしているという前例もあり、あまり抵抗なくこれを採用する。歩道の横幅や高さが、駅前のバス停と微妙に異なる。間を埋めようと別途購入した歩道とも更に異なっている。これはむしろ、実際の街ではよく見かける(施工時期や地形、周囲の建築物などの影響)ので、少し嬉しい。そして駅舎とスリーエフの間にできた空き地には、未舗装道路用に持っていた紙ヤスリを切り貼りした。そして牧場に置いたものと同じプレハブ小屋を設置した。何かを建設する予定の土地にある仮設事務所と見立てる。このプレハブ小屋は四つセットだったが、これで二つ目を使うことができた。
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