第41話

文字数 534文字

 凡そホームからバックスクリーンまでの距離は120m。次で恭平は6本目のダッシュだ……。3問目か4問目で勝ちきれなかったのがこの状況を生んだ。体力的にもまだ恭平が勝っていた段階、3・4問目、恭平のスタートしてからトップスピードまでの距離が伸びた、それは恐らく恭平が解答を気にしたからだと考えられる。

 5問目は、体力的に恭平は明らかに失速した。残り4人……全国大会出場を決まるまで多くて後2問。
 ここで水分補給のためのインターバルが取られた。

「ハァ、ハァ、ハァー」
 さすがに息が切れる恭平。足を伸ばして座り込んだ恭平の足の裏を、つま先でリズムよく交互に軽く蹴ってマッサージをする。美鈴は冷たいスポーツドリンクを手渡した。
 一番しんどい役回りを恭平は進んで引き受けてくれた。俺たちはこの3問の間、声援を送る事しかできなかった。

「恭平、よく聞け。お前はボールに集中してくれ」
「ハァ、でもハァ、それじゃあハァ……答えがっ……分からないかも、しれない……俺、みんなに比べてバカ……だから……」
「問題は俺たちで解く」
「でも……」
「抜けた者は、競技者の邪魔とボールに触れなければよいんだ。ホームで答えを教える。俺たちは恭平を信じている、お前も俺たちを信じてホームまで還って来てくれ」
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