第31話
文字数 499文字
「高校生クイズよ!」
美鈴は胸の前で手を合わせる。その目は輝いていた。そして俺たちの反応を覗き見ている……その瞳は訴えかけてくる。美鈴会心の明言だ。
「高校生クイズ?!」
二人言葉が重なり合う。ここまで、美鈴の描いたシナリオ通り。尚も美鈴の大きな黒目は俺たちの言葉を待つ。子犬のように見られたのなら答えは一つしかない。どうやら先日の数学の授業で閃いたらしい。
「一弥、意外と物知りだよね。テストもいつもできてる方だし。いけるんじゃない?」
「あのなぁ……あんな程度じゃ無理無理」
「じゃ、もっと本気出して。一弥いつもみたく目立たないように『そこそこ』で逃げていないで。頑張るって恥ずかしいことじゃないわよ?!」
「面白そうだな、やろうぜ!」
ウジウジの俺を置いてけぼりに、先陣を切って恭平が賛同する。俺にはそのとき恭平の頭に乗っているはずもないシルクハットの上部が『ピンコン!』と早押しの解答権を得たときの姿がイメージされた。
長いものに巻かれる俺は、ただただ小さく頷いた。しかしながら少しだけ高揚している自分がいることにも確かだった。刺激が生まれた瞬間だった。
「目指すは日本一! さーて、忙しくなるわよ~」
美鈴は胸の前で手を合わせる。その目は輝いていた。そして俺たちの反応を覗き見ている……その瞳は訴えかけてくる。美鈴会心の明言だ。
「高校生クイズ?!」
二人言葉が重なり合う。ここまで、美鈴の描いたシナリオ通り。尚も美鈴の大きな黒目は俺たちの言葉を待つ。子犬のように見られたのなら答えは一つしかない。どうやら先日の数学の授業で閃いたらしい。
「一弥、意外と物知りだよね。テストもいつもできてる方だし。いけるんじゃない?」
「あのなぁ……あんな程度じゃ無理無理」
「じゃ、もっと本気出して。一弥いつもみたく目立たないように『そこそこ』で逃げていないで。頑張るって恥ずかしいことじゃないわよ?!」
「面白そうだな、やろうぜ!」
ウジウジの俺を置いてけぼりに、先陣を切って恭平が賛同する。俺にはそのとき恭平の頭に乗っているはずもないシルクハットの上部が『ピンコン!』と早押しの解答権を得たときの姿がイメージされた。
長いものに巻かれる俺は、ただただ小さく頷いた。しかしながら少しだけ高揚している自分がいることにも確かだった。刺激が生まれた瞬間だった。
「目指すは日本一! さーて、忙しくなるわよ~」