第29話
文字数 475文字
「俺18になったらすぐ免許を取るよ。配達とか早く覚えなきゃだし。一緒に帰ることも減るかもな」
「そっか……」
「18になったらもう成人なんだもんね……あたしたち……」
しんみりした空気になる。それは俺たちに刺激が足りないから。元気をぶつけることへの抵抗、我武者羅になる勇気が足らないことによる不安。
若いからこそできることがあることを知っているのに、それをしていない罪悪感……一生懸命何かに打ち込んでいる者は悩むことのない、無駄に有り余る時間が考えすぎを呼ぶ。
俺たちは暇だったんだ……。
「代わり映えのしない毎日、決まり切った明日を黙って迎えるよりも、明日を乱そう! それが、自分が変わっていく近道なのかもしれない」
美鈴が将来への不安を断ち切るように声を上げた。優等生の美鈴の言葉とは思えなかった。でもそれが逆に清々しい。美鈴の言葉は正に風を起こした。モヤモヤを消し飛ばす最前線の風を。
「そうだ! まだ時間はある、はっちゃけようぜ!」
恭平が乗っかる。声は笑っていてもその眼差しは、その眉は、その鼻筋は、その口元は、凛々しい。
―――明日を……乱すんだ!
「そっか……」
「18になったらもう成人なんだもんね……あたしたち……」
しんみりした空気になる。それは俺たちに刺激が足りないから。元気をぶつけることへの抵抗、我武者羅になる勇気が足らないことによる不安。
若いからこそできることがあることを知っているのに、それをしていない罪悪感……一生懸命何かに打ち込んでいる者は悩むことのない、無駄に有り余る時間が考えすぎを呼ぶ。
俺たちは暇だったんだ……。
「代わり映えのしない毎日、決まり切った明日を黙って迎えるよりも、明日を乱そう! それが、自分が変わっていく近道なのかもしれない」
美鈴が将来への不安を断ち切るように声を上げた。優等生の美鈴の言葉とは思えなかった。でもそれが逆に清々しい。美鈴の言葉は正に風を起こした。モヤモヤを消し飛ばす最前線の風を。
「そうだ! まだ時間はある、はっちゃけようぜ!」
恭平が乗っかる。声は笑っていてもその眼差しは、その眉は、その鼻筋は、その口元は、凛々しい。
―――明日を……乱すんだ!