第28話 決断

文字数 605文字

 それは恭平の人生を変える出来事だ。高校卒業した先の進路……そして将来……どんな仕事に就いて、結婚するのかしないのか、どんな未来が待っているのか、どんな人生を歩んで行くのか行きたいのか、行くべきなのか……まだぼんやりとしか考えていなかった、いや考えたくなかった今後の進み方。

 この時代、昔ながらの米屋では行き詰っていた司馬家の生業。コンビニに業態を変えようかと恭平の両親は悩んでいた矢先の出来事だった。

 この先の司馬家は恭平の進学、その下にはまだ二人の子供がいる。

 恭平は母と相談してコンビニチェーンへと変化を決めた。そしてまだ残る米屋の取引はそのまま恭平が継いでいくことを決断した。


 何となくこのまま大学も一緒で、変わらずあの公園でくだらない話をする時間が続いていうのだろうと思っていた。
 高校二年生……少しずつ青春の終わりを感じ始める。それは真っ暗闇の中登っていく初めて乗るジェットコースターのようだ。不安なのか楽しみなのかすら自身の感情なのに掴めないでいる。

 三年生になった瞬間からジェットコースターは急下降するのみでそのスピードも落ちることなく駆け抜けていってしまうことだろう、それだけは想像できる。ただ、今、この二年生の夏休みよりも前、まだゆっくりと昇っているのではないだろうかという、その頂上を見ないふりをしている自分。
 まだ大丈夫という根拠のない思い込み。

 恭平の決断は俺たちに現実を突きつけた。
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