第89話

文字数 955文字

 問題が問題なだけに、解答まで辿り着かない。番組的には誤答でもいいから、ボタンを押して欲しいところ。受験会場と化したスタジオを司会者が大原さとみとのトークで場を繋ぐ。それがやけに耳障りだ。

「さとみちゃんは今までの問題で何か分かったの有ります?」
「え~。第1問目は多分、もしここに解答ボタンがあったら、正解した令和高校の美鈴()より私の方が早く押してましたね」
「え~! すごい」
「でも私10円と100円だと思ったので、不正解でしたね」

 気楽そうにはしゃぐ姿は、テレビで見ている分にはこの緊張した雰囲気を和ます最高の可愛さなのだろう。今の俺には大原さとみのこの言動は、一瞬でも美鈴を比較材料に出した時点で不快感を過らせる。

 美鈴がアイドル(おまえ)なんかに劣るわけがない、もちろん顔もだ!

 なぜか急に大原さとみ熱が冷めた。おっと問題、問題……。



 ついにここで時間切れ……チャレンジ失敗で回生高校はマイナスポイントされる。
 まさに『時の運』。難問の中でも難問だ、回生はここでこの問題だったのはツイてない。

 A.381654729
 (* 解説:ABC・DEF・FGHの3つに分ける。分かっている条件や数字の特性……『4』は下二桁が『4』で割り切れれば『4』の倍数。『8』は下三桁が割り切れれば『8』の倍数。これらを駆使して当てはめてていくしかありません。

 例えば……Cは奇数で3の倍数なので、3の段の掛け算の中で下一桁が奇数かつDはCDが4の倍数なので4の段の掛け算で十の位が奇数なもの。C=1・3・7・9で4の倍数の条件を当てはめると①CDは12・16・32・36・72・76・92・96。よってDは2か6。

 6の倍数は必ず3で割り切れます。A+B+C=必ず3で割り切れてしまうため、ABCD5Fが6で割れるということはD+5+Fもまた3で割り切れる数。①よりDF=28・64のペアしかあり得ない。②
 FGHは8で割り切れる。Fは②より8か4であることからFGHは816、896、432、472のいずれかになる。③
 ACは奇数で且つ②の条件を③と合わせるとABCは741・387・381に絞られ、A~Hは74125896・38165472の二択となる。

 7412589が7で割れないため、38165472が残る。I=9が確定する。

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