第46話 変化

文字数 631文字

 予選地方大会の次の日、学校ではやはり球場での大歓声が高校(ここ)まで届いていたのか、俺たちの高校生クイズ全国大会行きが知れ渡っていた。

「宇留間、聞いたぞすごいな!」「動画見たぜ」「宇留間君って頭いいのね」

 クラスで普段俺なんかに声を掛けない部類の陽キャたちが俺の机に集まる。その代わり普段俺と同じ類の集まってくる男たちが、持て余している。
 変わってしまった俺の生活、立場。俺の周りの奴は声が大きく、何だか背中を叩いてきたり、肩を組まれたりと、まるで恭平が何人もいるみたいに騒がしくなった。

 昼休み、何とか抜け出して、いつもの奴らに合流する。
「ふぅー、参った参った……」

「宇留間君は俺たちなんかと居ない方がいいよ」
「そうだね、折角明るい側(リア充)たちに認められたんだから」

「何言ってんだよ、いつものアニメの話でもしようぜ」
 俺は昨日の充実した日曜日を思い出しながらも『リア充』という言葉を笑い飛ばした。

「無理しなくていいんだよ」
「そうそう、宇留間君、司馬君や風散さんなんかと仲いいんだし、元からそっちの側が合ってたんだよ」

 ここまで言われて初めて彼らが本気でそう言っているのに気付いた。まるで絶縁を言い渡されたようで、この場に居辛くなる俺。いつもは一人になりたくて来る窓際の席へ追い出されるように身を移す。小さくため息がこぼれた。
 何も俺は変わっていない……周囲の俺を見る目が勝手に変わっただけだ、なのに……。『明日を変える』それはそんなにカッコいいことばかりではない気がした。
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