第5話 モンテーニュのこと…

文字数 707文字

 ところで、この書き物は、ジャンルとしてはエッセイである。この語源となったモンテーニュの「エセー」が、エッセイのはじまりであるなら、こうしてつらつら、思うことをとりとめもなく、書いて行ってもいいのではないか。
 そんなに、読まれなくても、いいのではないか。
 私は私の中に、充分他者を潜めている。他者の目を、これ以上意識しなくてもいいのではないか。

〈 みんな、ひとの目ばかりに気をやって、自分のことを置き去りにしている 〉

 モンテーニュは、まだ老年でもないのに塔に閉じこもり、自分について、また社会について(その社会も、自分についてのうちだった)書き続けた。
 思うに、一般というものが多数であるなら、その多数の構成員である個人、つまり自分について書くことは、けっして自分のことだけを書くということにはならないのではないか。
 むしろ、自分とは何なのかということを書く作業は、ぐるりと回って、「人間」あるいは「社会」を表わすことに繋がっていくのではないか。

 ともかく、ほんとうにもう、私はPV数など気にしないようにしたい。
 1話更新しても、30程度のアクセス数しかないのなら…と嘆いているようなのもネットにあったけれど、1人いれば、充分ではないかと思う。
 具体的な閲覧数は、確かに私のモチベーションになった。そして自分は、とてもそれにこだわり、とらわれてしまった。これは、内に向かうベクトルと対極のものだ。私の中がいかに空っぽであるにせよ、自分に向かって私は書きたかったのに、全く逆方向に向かってしまった。

〈 もっと、内に向かって。もっと、内に向かって 〉

 もう一度、体勢を正そう。歩くのは、自分の足だ。他者の足じゃない。
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