第26話 つかの間のまどろみ
文字数 1,099文字
私は、グルダナの王宮でも町中でもあまり男の人と一緒にいる事は無かった。
一応、護衛の近衛騎士はいたけれど、のんびりした小国の事だからあまりお世話になって無いのよね。お城を抜け出して遊んでたくらいだから。
お兄様も王太子になってから、忙しかったようで遊べなくなっていたし……。
フレデリックは、持ち込んだ書類の処理に追われている。
こうしてみている分には怖くは無いわ。
多分、今の雰囲気のまま押し倒されたとしても、怖くは無いだろう。
あれから、そばにも寄って来てくれなくなっているけど。
時々、フレデリックは思い出したようにこちらを見る。
やっぱり見られていると、落ち着かないのかしら……。
普段は大勢人がいるところで、仕事をしているというのに。
フレデリックが書類を渡しながら、女官に何か指示を出している。
女官の方も、心得ましたとばかりに相槌を打って退出をしてしまった。
「セシリア。そちらに行っても良いだろうか?」
私の様子を窺うようにフレデリックが訊いてくる。
「もちろんですわ。何を、今さら」
本当に今さらだわ。
フレデリックは、私のベッドの方にやって来て、端に座った。
そのまま横になると、ちょうどお顔が私の顔の横に来る。
「今は平気? 怖く無いか?」
おずおずと訊いてくる。大人の男の人がそんな伺うような顔をしていると、なんだか可愛く見えてしまう。
「はい。怖くないです」
そう答えると、フレデリックは私の頬を撫でてきた。
「そうか」
安心したような顔で私を見つめている。
やっぱり、この距離で見つめ合うのは恥ずかしいわ。
「少し休憩をする」
そう言って私の横に入って来た。完全に眠る体制だ。
目を閉じたフレデリックは、疲れていたのかすぐに寝息を立てて眠ってしまっていた。
指でフレデリックの前髪を払う。この前、城下町に出たとき以来だわ。フレデリックの髪を触るなんて。
この国に来てまで、城下町に遊びに……じゃ無かった、一応お仕事なのよね、だけど、仕事でも行けるだなんて思ってもみなかった。
私はフレデリックの前髪を額に垂らしてみた。
やっぱり、前髪を降ろすといつもより若く見えるわ。
夜、眠れなくなるので、昼間は寝ないようにしていたのだけど、フレデリックの寝息を聞いていると私も眠くなるわ。
私もいつの間にかウトウトしはじめ、眠ってしまっていたようだった。
後から書類を取りに来たクライヴにフレデリックは、散々文句を言われるのだけれども。
この時、眠りこけてしまった私たちは、そんな未来は知らなかった。
一応、護衛の近衛騎士はいたけれど、のんびりした小国の事だからあまりお世話になって無いのよね。お城を抜け出して遊んでたくらいだから。
お兄様も王太子になってから、忙しかったようで遊べなくなっていたし……。
フレデリックは、持ち込んだ書類の処理に追われている。
こうしてみている分には怖くは無いわ。
多分、今の雰囲気のまま押し倒されたとしても、怖くは無いだろう。
あれから、そばにも寄って来てくれなくなっているけど。
時々、フレデリックは思い出したようにこちらを見る。
やっぱり見られていると、落ち着かないのかしら……。
普段は大勢人がいるところで、仕事をしているというのに。
フレデリックが書類を渡しながら、女官に何か指示を出している。
女官の方も、心得ましたとばかりに相槌を打って退出をしてしまった。
「セシリア。そちらに行っても良いだろうか?」
私の様子を窺うようにフレデリックが訊いてくる。
「もちろんですわ。何を、今さら」
本当に今さらだわ。
フレデリックは、私のベッドの方にやって来て、端に座った。
そのまま横になると、ちょうどお顔が私の顔の横に来る。
「今は平気? 怖く無いか?」
おずおずと訊いてくる。大人の男の人がそんな伺うような顔をしていると、なんだか可愛く見えてしまう。
「はい。怖くないです」
そう答えると、フレデリックは私の頬を撫でてきた。
「そうか」
安心したような顔で私を見つめている。
やっぱり、この距離で見つめ合うのは恥ずかしいわ。
「少し休憩をする」
そう言って私の横に入って来た。完全に眠る体制だ。
目を閉じたフレデリックは、疲れていたのかすぐに寝息を立てて眠ってしまっていた。
指でフレデリックの前髪を払う。この前、城下町に出たとき以来だわ。フレデリックの髪を触るなんて。
この国に来てまで、城下町に遊びに……じゃ無かった、一応お仕事なのよね、だけど、仕事でも行けるだなんて思ってもみなかった。
私はフレデリックの前髪を額に垂らしてみた。
やっぱり、前髪を降ろすといつもより若く見えるわ。
夜、眠れなくなるので、昼間は寝ないようにしていたのだけど、フレデリックの寝息を聞いていると私も眠くなるわ。
私もいつの間にかウトウトしはじめ、眠ってしまっていたようだった。
後から書類を取りに来たクライヴにフレデリックは、散々文句を言われるのだけれども。
この時、眠りこけてしまった私たちは、そんな未来は知らなかった。