第24話 我がままを言ったら、押し倒されました
文字数 1,439文字
私はフレデリックによって、部屋に戻され。壮絶に吐いていた。
アンとセルマは事情を訊くことなく私の世話をしてくれている。
水を飲んでは吐くという事を何度か繰り返したら、吐き気が止まり。水分を取ることが出来るようになる。
果物水を飲んでも大丈夫になった。
まだ頭がくらくらする。私は着替えさせられた後、ベッドに横たえられた。
ひと息ついたところで、フレデリックが寝室に入ってくる。
「執務室に、毒草を持ち込んでいる者がいます。多分、みなさまが気付かない程度に持ち込んで浸透させるのが目的だと思われますが」
私は、フレデリックが何か言う前に報告をした。
「そうか。しかし、大臣はまだしも宰相までかかわっているかもしれないとは」
宰相自身ににおいは付いてなかったけど、それが証拠にはならない。
クラクラしすぎて、持ち込んだ人物を確認できなかった。
犯人を捕らえるのは、国王の仕事だけれども……。
「あの、今日はもう……」
あの執務室に戻るなと言いたい。だから私は、フレデリックの服を掴んだ。
「わたくしのそばに、いて下さい」
フレデリックはギョッとした顔をして、私を見た。
我がままと思われても良い。なんと思われても、あの毒草のにおいが充満した空間にフレデリックを戻したくなかった。
翌朝、私は体調があまり良くは無かったけれど、フレデリックと一緒に執務室に行くと言い張った。
昨日、結局そのまま添い寝をしてくれていたフレデリックから、猛反対を受けている。
「なら、フレデリックも私のそばにいて下さい」
今日もあのにおいが充満するかもしれない。私にしかわからないあのにおいが……。
持ち込まれた直後ですら、充満したんだ。
あのまま、放っておいたら私だけでなく、あの場にいるみんなの体調も悪くなる。
フレデリックは、私が頑張って腕にしがみ付くものだから、困っているようだった。
まだ人払いしているからの攻防である。
「セシリア。あまり我がままを……。そうだな、言ってくれても良いか」
フレデリックが、雰囲気を変えた。
しがみついている手をやんわりと外し、自分の体を使って私をベッドに押し倒す。
「良いのか? そばにいても」
私の耳元で、少し掠れた低い声で言われた。
私の手を押さえつけるでもなく、やんわりと包み込むように握っている。耳たぶに口付けをされて、そのまま首筋に……。
怖い。怖くて体が震えてしまう。だけど、私は抵抗しかけて……やめた。
だって、抵抗してどうするというのだろう。
今まで、フレデリックが優しかったから添い寝だけですんでいたのよ。
それに、今抵抗したら、これ幸いと執務室に行ってしまいそうだわ。
でも、涙を流すくらいは許して欲しい。
そう思っていると、フレデリックが溜息を吐くのが聞こえた。
「嫌だったら、抵抗くらいしろ」
「嫌じゃないです。怖かったけど……」
本当に、嫌だとは思わなかった。ただ、怖いだけで……。
フレデリックが体を起こして、私の涙を指でそっと拭ってくれた。
「泣いているだろう? 立場的に抵抗できないのは、分かっているが。ちゃんと意思表示をしてくれ。何も出来なくなる」
「ですが……」
「ちゃんと夫婦になりたいんだ。ゆっくり時間をかけてでも。義務ではなく」
言っていることはよく分からないけど、私の事を大切にしてくれようとしているのは、わかった。
アンとセルマは事情を訊くことなく私の世話をしてくれている。
水を飲んでは吐くという事を何度か繰り返したら、吐き気が止まり。水分を取ることが出来るようになる。
果物水を飲んでも大丈夫になった。
まだ頭がくらくらする。私は着替えさせられた後、ベッドに横たえられた。
ひと息ついたところで、フレデリックが寝室に入ってくる。
「執務室に、毒草を持ち込んでいる者がいます。多分、みなさまが気付かない程度に持ち込んで浸透させるのが目的だと思われますが」
私は、フレデリックが何か言う前に報告をした。
「そうか。しかし、大臣はまだしも宰相までかかわっているかもしれないとは」
宰相自身ににおいは付いてなかったけど、それが証拠にはならない。
クラクラしすぎて、持ち込んだ人物を確認できなかった。
犯人を捕らえるのは、国王の仕事だけれども……。
「あの、今日はもう……」
あの執務室に戻るなと言いたい。だから私は、フレデリックの服を掴んだ。
「わたくしのそばに、いて下さい」
フレデリックはギョッとした顔をして、私を見た。
我がままと思われても良い。なんと思われても、あの毒草のにおいが充満した空間にフレデリックを戻したくなかった。
翌朝、私は体調があまり良くは無かったけれど、フレデリックと一緒に執務室に行くと言い張った。
昨日、結局そのまま添い寝をしてくれていたフレデリックから、猛反対を受けている。
「なら、フレデリックも私のそばにいて下さい」
今日もあのにおいが充満するかもしれない。私にしかわからないあのにおいが……。
持ち込まれた直後ですら、充満したんだ。
あのまま、放っておいたら私だけでなく、あの場にいるみんなの体調も悪くなる。
フレデリックは、私が頑張って腕にしがみ付くものだから、困っているようだった。
まだ人払いしているからの攻防である。
「セシリア。あまり我がままを……。そうだな、言ってくれても良いか」
フレデリックが、雰囲気を変えた。
しがみついている手をやんわりと外し、自分の体を使って私をベッドに押し倒す。
「良いのか? そばにいても」
私の耳元で、少し掠れた低い声で言われた。
私の手を押さえつけるでもなく、やんわりと包み込むように握っている。耳たぶに口付けをされて、そのまま首筋に……。
怖い。怖くて体が震えてしまう。だけど、私は抵抗しかけて……やめた。
だって、抵抗してどうするというのだろう。
今まで、フレデリックが優しかったから添い寝だけですんでいたのよ。
それに、今抵抗したら、これ幸いと執務室に行ってしまいそうだわ。
でも、涙を流すくらいは許して欲しい。
そう思っていると、フレデリックが溜息を吐くのが聞こえた。
「嫌だったら、抵抗くらいしろ」
「嫌じゃないです。怖かったけど……」
本当に、嫌だとは思わなかった。ただ、怖いだけで……。
フレデリックが体を起こして、私の涙を指でそっと拭ってくれた。
「泣いているだろう? 立場的に抵抗できないのは、分かっているが。ちゃんと意思表示をしてくれ。何も出来なくなる」
「ですが……」
「ちゃんと夫婦になりたいんだ。ゆっくり時間をかけてでも。義務ではなく」
言っていることはよく分からないけど、私の事を大切にしてくれようとしているのは、わかった。